地球を2周して出会ったバーリーマックス
帝人株式会社では、2013年に「ヘルスケア分野の技術を生かした新規事業が出来ないか」というプロジェクトが始まりました。
米国の最優秀の科学者・研究者を集めたヒトゲノムの解析プロジェクト(2003年に完了)にかかわっていた科学者たちが一斉に腸内細菌の研究にシフトし、その成果がどんどん出始めていた頃でした。
「腸」が次に来る!
その発表の中で、人間の腸内には1,000種類以上の細菌がいて、それらの細菌が全身のさまざまな健康に関わっているとのこと。腸内細菌は、消化器系だけではなく、脳にも影響を与えるのではないかというのです。そして、その腸内細菌の活動に重要な影響を与えるのが、「食物繊維」だということを知りました。
帝人株式会社はもともと繊維のメーカー。この新事業プロジェクトにかかわっていたメンバーも、元は繊維の研究者でしたので、当時こんなことを考えました。
ということで、食物繊維に着目しながら新しい素材を探し始めたのが、この長い旅の始まりとなりました。東に「YY」ありと聞いたらすぐ飛んでいき、南「ZZ」がいいらしいと聞けば夏服を引っ張り出して南へと。
気づいたら地球2周していました。
世界中の多くの研究者とディスカッションを重ねていくうちに、一つのキーワードが浮かび上がってきました。
ここまできたとき、目指すべき方向性がはっきりしました。
「短鎖脂肪酸」に着目して、改めて世界中を見渡してみると、オーストラリアで画期的な製品があることを知り、その製品が導入できないか検討を開始。
その製品は非常に画期的でしたが、様々なハードルがあったため、導入が難しいことが分かりました。がっかりしていたとき、その研究者が他の製品を紹介してくれました。
「短鎖脂肪酸に注目した新しい大麦がある」と
そしてついに
オーストラリア産のスーパー大麦
「バーリーマックス」
に出会ったのです。
ニュータイプ大麦「バーリーマックス」の誕生
スーパー大麦「バーリーマックス」は、『オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)』という機関で開発されました。
当時のオーストラリアでは、医薬品に頼らず食事で病気を予防することはできないか?ということから、10年かけて開発されました。
開発をはじめた1990年代後半、CSIROではアフリカのとある村の人々の健康に興味を持ち、彼らの食生活を研究をしました。すると、デンプン質のものを一度冷やして食していることが判明し、その際に発生するレジスタントスターチという成分に着目することになりました。
レジスタントスターチというのは、人が消化吸収しづらいデンプンのことですが、それを含む大麦をベースに改良を重ね、第3の食物繊維とも言われるレジスタントスターチが豊富な大麦を開発できたそうです。