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腸のチカラを科学するー食物繊維の分析方法をご紹介

食物繊維とは、ヒトの消化酵素で分解されない、食物中の難消化性成分の総称です。
食物繊維は水への溶けやすさによって水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2つに大きく分けられますし、それぞれに様々な食物繊維が含まれています。
最近では、加工食品のパッケージに食物繊維の含有量が書かれているのを見る機会も増えてきているかと思います。

実は、食物繊維はいろいろな化合物からなる複雑な混合物です。
そのため、食物繊維の含有量を数字として出すことは出来ますが、その数値が全ての食物繊維を完全にカバーしきれているとは限りません。

ここでは、総食物繊維の含有量を求める方法や、β-グルカン、フルクタンといった各食物繊維の含有量を求める方法について、簡単に説明します。

 

総食物繊維量

まずは、食品中の食物繊維量を個別の成分にこだわらず、まるっと分析する方法について紹介します。

先程も述べたように、食物繊維とは食物中の難消化性成分の総称です。
そこで、総食物繊維を求めるときも、ヒトが食べたときと同じように、ヒトの酵素で処理して分解しきれずに残った量を測定して求めています。

具体的には、まず細かくした食べ物を水に入れ、アミラーゼ(デンプンなどを分解する酵素)やプロテアーゼ(タンパク質を分解する酵素)、アミログルコシダーゼという消化酵素で処理します。

次に、この処理液をろ過して固形物とろ液とに分けます。
固形物の方には灰分やタンパク質の一部が残っているので、これらの量を求めて、固形物から差し引くことで不溶性食物繊維の量を求めます。

一方、ろ液については、これにエタノールを加えることで溶けている食物繊維を沈殿させます。これが水溶性食物繊維となります。
こうして求めた不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の量を合わせることで、総食物繊維量を求めています。
この手順はAOAC(Association of Official Analytical Chemists)やAACC(アメリカ臨床化学会)によって、詳細に定められています。(AOAC985.29やAOAC991.43、AACC32-07.01など)

β-グルカンの分析方法

β-グルカンは水溶性食物繊維の一種です。
グルコースがグリコシド結合でつながった多糖をグルカンと言いますが、このうちグルコースのつながり方がβ-グリコシド結合になったものをβーグルカンと言います。
β-グルカンは大麦やオーツ麦などの穀物などに含まれています。

β-グルカンを定量するには、このβ-グリコシド結合を分解する酵素で処理を行い、分解されて生成したグルコースを定量して求めています。

具体的には、細かくした食べ物を水に入れ、リケナーゼという酵素で処理して、β-グルコオリゴ糖というオリゴ糖に分解します。
このβ-グルコオリゴ糖をβ-グルコシダーゼという酵素で処理して、完全にグルコースまで分解します。このグルコースの量を定量することで、β-グルカンの含有量を求めています。

この手順もAOACやAACCによって、詳細に定められています。(AOAC995.16やAACC32-23.01)

 

 

フルクタンの分析方法

フルクタンは、スクロースにフルクトースがつながった構造を有する水溶性食物繊維です。
ごぼうや玉ねぎ、ラッキョウなどに含まれており、最近話題のイヌリンもフルクタンの一種です。

フルクタンを求めるためには、まずフルクタン以外の糖を複数の酵素で処理して取り除き、その後フルクタンをフルクトースとグルコースに分解してこれを定量します

具体的には、細かくした食べ物を水に入れ、スクラーゼ、プルラナーゼ、β-アミラーゼ、マルターゼといった酵素で処理してフルクタン以外の多糖類を分解し、除去します。
そうして、残ったフルクタンをエキソ/エンドイヌリナーゼとエンドレバナーゼでグルコースとフルクトースに分解し、これを定量することでフルクタンの含有量を求めます。
この手順もAOACやAACCによって、詳細に定められています。(AOAC999.03やAACC32.32.01)

 

 

レジスタントスターチ(難消化性デンプン)

レジスタントスターチ(難消化性デンプン)は、その名の通りデンプンの一種です。
通常のデンプンと異なり、ヒトの小腸までは消化されず、大腸まで届きます。
その定量方法も、通常のデンプンが分解するマイルドな条件で処理した後、レジスタントスターチが分解する条件で分解して測定します。

具体的には、細かくした食べ物をアミラーゼとアミログルコシダーゼで処理して普通のデンプンを分解します。
分解しなかった成分をアルカリ性の液で処理することで、レジスタントスターチを溶かした溶液を作成します。
これを中和した後にアミログルコシダーゼで処理することで、レジスタントスターチをグルコースに分解します。
このグルコースを測定することで、レジスタントスターチの量を求めています。

この手順もAOACやAACCによって、詳細に定められています。(AOAC2002.02やAACC32-40.01)

 

 

食物繊維の定量方法の問題点

総食物繊維の定量方法について、すごく簡単にご説明しましたが、実際は細かい部分では、改良が進んできています。

例えば、上で述べたAOAC985.29では、レジスタントスターチや水溶性食物繊維の一部が含まれません。
そこで、これを改善するためにAOAC2009.01やAOAC2011.25といった方法が開発されました。

実は、消費者庁の食品表示基準では、食物繊維の量はAOAC985.29とAOAC2001.03で定量したものを使うことになっています。
そのため、もしレジスタントスターチや水溶性食物繊維が多い食品では、本当は表示されている数値以上に食物繊維が含まれていることがあります。

いずれは、より実際に近い数値が書かれたものに変わってくるのではないかと期待しています。

 

表 Codex*)委員会の推奨する代表的な食物繊維総量の定量法の特徴

〇:適用可、×:適用不可
RS1:豆類や未粉砕の全粒穀類のデンプンなど物理的に消化酵素が接触できないもの
RS2:生のジャガイモ、未熟なバナナ、あるいはハイアミロースコーンなどのデンプン
RS3:老化デンプン(一旦糊化したデンプンが再結晶化したもの)
RS4:加工でんぷん(架橋デンプンなど化学修飾されたもの)
※Codex:国連食糧農業機関と世界保健機構が合同で作った国際的な食品規格
出典:ルミナコイド研究2015;19:61

 

 

 

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