健康にさまざまな効果をもたらすとして関心が深まる食物繊維。腸の動きを活発にすることから、腸活には欠かせない栄養素として摂取が推奨されています。そんな食物繊維は大きく水溶性のものと不溶性のものの2種類に分類できますが、摂取バランスに理想とされる割合があるのはご存じでしょうか。このページでは2種の食物繊維の特徴や、バランスよく摂るための簡単な方法などを解説します。
食物繊維については、こちら(腸を元気にする食物繊維を上手に摂るポイントとは)で紹介していますので、併せてチェックしてみてください。
2種類の食物繊維
食物繊維は、水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維の2種類あります。
スジスジの不溶性食物繊維
一般的な繊維=筋のイメージで「食物繊維を摂ろう!」と思ったときに、思い浮かべるごぼうやセロリなどの野菜、りんごや桃などの果物、豆類の外皮などに含まれます。
ネバネバの水溶性食物繊維
ネバネバ・ツルツル・トロトロっとした食感のものが多いのが特徴で、海藻や里芋やアボカド、果物だといちごやみかんが該当します。
不溶性と水溶性のバランス比
食物繊維は水溶性・不溶性のどちらか一方に偏らず、両方をバランスよく摂取することが大切ですが、現状の摂取比は、不溶性と水溶性がおよそ4:1 (*1)。
1):平成30年国民健康・栄養調査報告(厚生労働省)
食物繊維は不溶性と水溶性を2:1で
食物繊維の理想的なバランスは、不溶性と水溶性を2:1割合摂取するのがよいとよく言われます。なので現状の4:1から見ると大きな乖離があります。その理由の一つとして考えられるのは、実は食物繊維と聞いて想像する野菜は不溶性食物繊維を豊富含むものが多いので、比較的摂りやすい反面、水溶性食物繊維は不足しがちになってしまうという事実。よいとされる割合に近づけるためにも、水溶性食物繊維の摂取を増やすことが大切と言えます。
食物繊維をバランスよく摂るポイントは
現実と理想にギャップを改善するために上手に食物繊維を摂り入れるポイントは、
この項では1品で食物繊維を多く含みかつ2種のバランスがとれた食材を紹介します。
いろいろな食品の食物繊維バランスは?
食物繊維が多いイメージを持っている食品をピックアップして、100gあたりの水溶性と不溶性の食物繊維のバランスをまとめてみます。
分類 | 食材 | 食物繊維 総量 |
不溶性食物繊維 | 水溶性食物繊維 | バランス比 |
---|---|---|---|---|---|
米・雑穀 | スーパー大麦 (*2) | 23.1g | 14.8g | 8.3g | 1.8:1 |
えんばく/オートミール | 9.4g | 6.2g | 3.2g | 1.9:1 | |
押麦 | 7.9g | 3.6g | 4.3g | 0.8:1 | |
玄米 | 3g | 2.3g | 0.7g | 3.3:1 | |
野菜 | ごぼう | 5.7g | 3.4g | 2.3g | 1.5:1 |
ブロッコリー | 5.1g | 4.3g | 0.9g | 4.8:1 | |
オクラ | 5g | 3.6g | 1.4g | 2.6:1 | |
たけのこ | 3.3g | 2.9g | 0.4g | 7.3:1 | |
れんこん | 2g | 1.8g | 0.2g | 9:1 | |
きのこ | しいたけ | 4.6g | 4.1g | 0.4g | 10.3:1 |
えのきたけ | 3.9g | 3.5g | 0.4g | 8.8:1 | |
ぶなしめじ | 3.5g | 3.2g | 0.3g | 10.7:1 | |
果物 | アボカド | 5.6g | 3.9g | 1.7g | 2.3:1 |
キウイフルーツ | 2.6g | 2g | 0.6g | 3.3:1 | |
りんご | 1.9g | 1.4g | 0.5g | 2.8:1 | |
豆 | 大豆 | 17.9g | 16.4g | 1.5g | 10.9:1 |
アーモンド | 10.1g | 9.3g | 0.8g | 11.6:1 |
参考:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
2):日本食品分析センター
水溶性食物繊維を摂るポイントは穀類
穀類は、食物繊維量が多いことはもちろん、野菜からは摂取しづらい水溶性食物繊維を豊富に含み、理想的なバランスに近いので、食物繊維と言ったら穀類!とイメージするとよいかもしれません。
その代表は、大麦、玄米、オートミールなど。炊いたり煮たりすると水溶性食物繊維のネバネバ・ツルツルを感じられます。食べやすいものが多く出ていますので、いろいろ試してお好みの雑穀を見つけてみてください。
もち麦の1.6倍のスーパー大麦を食卓の定番に
体によい雑穀というと玄米を思い浮かべる方も多いですが、実は玄米の2倍以上もの食物繊維を含んでいるのは大麦です。さらにスーパー大麦は玄米の7倍以上の含有量で、もち麦と比べても1.6倍の食物繊維なのも注目したいです。
最もよく食べるであろう白米に混ぜて炊いてもOK、煮麦にしてトッピングするもよし。海藻やきのこなどの食品を組み合わせれば、より多くの食物繊維を摂取ができ、カサ増し効果にもなるので全体量を減らしたり、満腹感をもたらすことも期待できます。食物繊維は、炭水化物に含まれますが、糖質をオフするために炭水化物を控えると、食物繊維もオフしてしまうことになってしまいますので、大麦を加えるなどして糖質を抑えつつも上手に食物繊維を摂取して、炭水化物を摂ることで制限によるストレスも軽減できるはず。
まとめ
食物繊維が注目されてこなかったのは、昔は日ごろの食生活で自然に摂取ができていたから、特に意識することなく食物繊維が健康をサポートしていた。ところが、食生活が変化し洋食を口にする機会が増えたことで、現代人が抱える課題が増えてしまったのかも。
改めて日本伝統の「和食」の良さが見直されてきているということも含めて、昔ながらの和食にこそ健康の近道へのヒントがあるということなのかもしれませんね。