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もち麦の健康効果とおすすめの食べ方

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もち麦の健康効果とおすすめの食べ方

 

高い健康効果で話題になっている「もち麦」。

一度は食べたことがある、という方も多いのではないでしょうか。

この記事では、もち麦が体に良いといわれる理由や、どのくらい摂ったら良いのかについて詳しくお伝えします。

実際に食生活に取り入れようとした時にすぐに役立つよう、選び方、食べ方についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

 

もち麦の栄養を白米と比較

もち麦は米や小麦と同じ穀類で、大麦の一種です。

大麦にも、お米と同じように「うるち性」と「もち性」があり、もち麦はもち性の大麦に分類されます。

実際に主食として食べる時は、白米の1~4割程の量を混ぜて炊飯するため、100%もち麦のみで食べることはあまりありませんが、ここでは白米ともち麦の栄養価を100gあたりの量で比較していきます。

 

カロリーはほぼ同じ

白米ともち麦の100gあたりのカロリーは大きく変わりません。

 

100gあたりのカロリー

白米  100g  342kcal

もち麦 100g  337kcal

 

ただし、これは炊飯前の状態のカロリー。

大麦は一般的に、炊飯時に吸水して膨らむ度合いが白米よりも大きい、つまりかさ増し効果が高いのが特徴です。

そのため、同じ量のご飯を茶碗にもって食べる場合はもち麦の方が低カロリーになります。

白米に何割か混ぜて使用した場合でもその効果は感じられるでしょう。

※白米:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

もち麦:広島県産キラリモチ分析値

 

糖質が低く、たんぱく質が多い

白米に比べて、もち麦は糖質がやや少なく、たんぱく質がやや多い傾向があります。

 

100gあたりの栄養成分

白米  100g  糖質77.1g  たんぱく質6.1g

もち麦 100g  糖質61.4g  たんぱく質9.4g

 

※白米:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

もち麦:広島県産キラリモチ分析値

 

糖質の量を気にしている方や、ダイエット中の方にもおすすめです。

 

食物繊維が豊富でバランスが良い

もち麦には食物繊維が100gあたり14.6g※と豊富に含まれています。

食物繊維は、水に溶けにくい不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維に大きく分けられ、働き方が異なります。

普段の食事から摂る食物繊維は不溶性食物繊維の割合が多いため、水溶性食物繊維は不足しやすいといわれていますが、もち麦は水溶性食物繊維も豊富に摂れる貴重な食材です。

白米と一緒に、他の穀類も比較してみました。

 

食物繊維量の比較※

食物繊維総量 水溶性食物繊維 不溶性食物繊維
白米 0.5g 0g 0.5g
もち麦 14.6g 10.3g 4.3g
玄米 3.0g 0.7g 2.3g
大麦 7.9g 4.3g 3.6g
スーパー大麦 23.1g 8.3g 14.8g

 

もち麦、大麦、スーパー大麦は食物繊維を豊富に含んでいることに加えて、食物繊維の中でも水溶性食物繊維の割合が多くバランスが良いことがわかります。

※もち麦、スーパー大麦:プロスキー変法 日本食品分析センター

その他:日本食品成分表2020年度版(八訂)から引用(プロスキー変法)

 

もち麦の効果

もち麦は大麦の中でも健康効果が高いとされていますが、その理由は食物繊維の量と種類にあります。

食物繊維量が多いのは前述の通りですが、その種類にも注目されています。

大麦の胚乳には、特に多くの水溶性食物繊維である「β-グルカン」が含まれています。このβ-グルカンが体にとってうれしい働きをすることがわかり、健康食品として人気がでました。

このβ-グルカンはもち麦の他、スーパー大麦にも豊富に含まれています。

 

β-グルカン量の比較(100gあたり)

食物繊維 β-グルカン
もち麦 14.6g 8.7g
白米 0.8g
玄米 2.4g
大麦(押麦) 9.6g 4.4g
スーパー大麦 23.3g 6.7g

「-」は検出せず

※食物繊維 酵素-重量法(日本食品分析センター分析値)

 

β-グルカンをはじめ、食物繊維のうれしい効果について詳しく解説します。

 

腸内環境を整える

水溶性食物繊維の多くは、腸の中で善玉菌のえさになり、腸内細菌のバランスを整える働きがあります。

腸内には1,000種類、100兆個にもおよぶ腸内細菌が生息しており、大きく善玉菌・悪玉菌・日和見菌(ひよりみきん)の3つに分けることができます。

腸内環境を整えるには、腸の中で人間にとって良い影響を与える善玉菌の割合を増やしていくことが重要です。

善玉菌を増やすには発酵食品などの善玉菌を含む食品を摂ることと、善玉菌のえさである水溶性食物繊維を摂取する方法があります。

もち麦は水溶性食物繊維を豊富に含んでいるため、腸内環境を良好に保つのに積極的に摂りたい食品です。

 

血糖値の急上昇を抑える

β-グルカンの健康効果で最も注目されているのが、食後の血糖値の急上昇を抑えることです。

私達の体は食事をすると血糖値が上がり、インスリンというホルモンが分泌されます。

インスリンは血糖を下げる働きとともに、脂肪を合成する働きがあるため、血糖値が急激に上昇してインスリンが過剰に作られると、体内で脂肪が蓄積されやすくなるのです。

水溶性食物繊維は、糖質の消化・吸収を穏やかにする働きがあるため、血糖値が急激に上がるのを防ぎ、インスリンの過剰分泌も防ぎます。

さらに、β-グルカンの血糖値を抑える効果は食事中だけに留まらず、次の食事の血糖値にも影響する(セカンドミール効果とよばれます)ことがわかってきています。

胃の中に留まっている時間が長く満腹感が持続する効果もあり、ダイエット中にうれしい成分です。

 

コレステロールの吸収を抑える

血液中に含まれる脂質の主なものは、コレステロールと中性脂肪です。

食物繊維は、脂質を吸着して体の外に出す働きを持つものが多く、体内でコレステロールから作られる胆汁酸の排泄を促し、血中のコレステロール値を下げる働きがあります。

コレステロールは体に不可欠な成分ですが、多すぎると動脈硬化を促進する原因となりやすいため、良好なバランスを保つことが重要です。

 

もち麦はどのくらい食べたらいいの?

 

もち麦は1日にどのくらいの量を摂取すれば良いのでしょうか。

もち麦の栄養成分で最も注目を集めているのは食物繊維です。

食物繊維の目標摂取量を目安に1日に摂りたい量をみていきましょう。

 

食物繊維の目標摂取量

1日に摂りたい食物繊維の目標量は成人で男性21g以上、女性18g以上です。

※「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 18歳~64歳の目標量参考

欧米の研究報告では1日あたり24g以上の食物繊維摂取で、心筋梗塞、脳卒中、2型糖尿病、乳がん、胃がん、大腸がんなどの発症リスク低下が観察されたとの報告があります。

海外の基準を参考にすると、もう少し多く摂るのが理想ですが、現代の日本人は食物繊維を十分に摂れている人が少ないため、実現可能な量として設定されています。

国民健康・栄養調査の結果※をみると、若い方の実際に摂っている食物繊維量の平均は男性17.5g、女性14.6gですので、1日3~4g前後多く摂ることを意識すると良いですね。

食物繊維を毎日3~4g多く摂るというのは大変そうに思われるかもしれませんが、主食に食物繊維の豊富な食材を取り入れることで摂取量を増やすことができ、それが主食であれば続けやすくなるというメリットもあります。

※令和元年 国民健康・栄養調査結果 20~29歳平均値参考

 

他の雑穀との比較

主食に食物繊維が豊富な食材を取り入れる場合に、選択しやすいものをいくつかあげてみました。

 

食物繊維総量 水溶性食物繊維 不溶性食物繊維
もち麦 14.6g 10.3g 4.3g
はと麦 0.6g 0g 0.6g
アマランサス 7.4g 1.1g 6.3g
あわ 3.3g 0.4g 2.9g
キヌア 6.2g 1.5g 4.7g
スーパー大麦 23.1g 8.3g 14.8g

※もち麦、スーパー大麦:プロスキー変法 日本食品分析センター

その他:日本食品成分表2020年度版(八訂)から引用(プロスキー変法)

 

不溶性食物繊維が多く、水溶性食物繊維が少ないものも多くあります。

水溶性食物繊維を積極的に摂取したい場合は、もち麦やスーパー大麦を選ぶなど、食物繊維の種類も意識できると良いですね。

 

もち麦の食べ方

もち麦を食事に取り入れようと思った時に、簡単に取り入れられる方法をお伝えします。

主食に混ぜて炊く方法が主流ですが、家族が白米を好む、おかずでもち麦を摂りたいなどの場合はもち麦のみを茹でておくのがおすすめです。

 

白米に混ぜる

一番簡単なのは白米に混ぜて炊く方法です。

好みによって白米の1~4割程度をもち麦に変えましょう。

 

<食べやすく、食物繊維も摂れるおすすめの量>

米2合(いつもの水加減)+もち麦100g(もち麦重量の2倍の水)

 

<基本の炊き方>

①米を研ぎ、炊飯窯の目盛りまで水を加える

②もち麦ともち麦量の2倍の水を加える

(もち麦は特別に表記されている場合以外、水洗いの必要はありません)

③軽く混ぜてから炊飯する

④炊きあがったら全体を軽く混ぜる

※水の量はもち麦の量の2倍と覚えておくと便利です。

※保温時間が長いと黄色くなりやすい品種もありますので、注意しましょう。

 

スープやサラダのトッピングとして

主食以外でもち麦を使いたい場合は、事前に茹でて保存しておくとすぐに使いやすくなります。

 

<基本の作り方>

①鍋にもち麦と、もち麦量の3倍の水を加えて中火にかける

②沸騰したら、火を弱め20分ほど茹でる

③ザルにあげて水気を切り、保存容器に移す

 

<保存方法>

冷蔵保存  保存容器に入れて1週間程度を目安に食べきる

冷凍保存  チャックつきビニール袋に広げて入れて冷凍する

(使用する分だけ割って使用)

 

茹でたもち麦は、そのままスープやサラダなど幅広い料理に活用することができます。

普段の味噌汁に加えると、発酵食品である味噌と食物繊維が豊富なもち麦で一気に腸活スープになります。

また、市販のスープに加える、ヨーグルトに加える、サラダのトッピングにするなど、調理の手間を増やすことなく加えるだけで手軽に取り入れることができるのはうれしいポイントですね。

 

もち麦の選び方

もち麦生活をはじめようと思って検索すると、色々な商品があって迷いますよね。

ここでは自分の生活にあったものを選べるように、いくつかのポイントをまとめました。

 

大容量か個包装か

商品パッケージが大容量で1袋に入っている商品と、少量の個包装になっている商品があります。

どちらもメリット・デメリットがありますので、生活スタイルにあったものを選びましょう。

 

大容量(1袋)

メリット

  • 自分で好きな量に調整できる
  • 個包装に比べて価格が安いことが多い
  • 主食以外にも使いやすい

デメリット

  • 計量が必要である
  • チャックつきでない場合、別容器に入れ替える必要がある

 

個包装

メリット

  • 計量が必要ないため手軽に使える
  • 虫がわきにくい
  • 初めてご飯に混ぜて使う人におすすめ

デメリット

  • 一度に大量に使いたい場合に使いにくい
  • 包装の分、割高になりやすい

 

国産と外国産がある

もち麦やもち麦を使用した製品の原料は外国産が多く、9割程を占めています。

2016年頃のテレビ放送の影響などを受け、もち麦の需要が一気に上がったため、国内で生産される量も増えてきました。

特に国内で生産が多いのは九州ですが、首都圏を含めてどこでも手に入りやすくなっています。

どこで作られたかに注目するとともに、お米と同じように品種によって味のちがいがあるため、どんな品種かを意識するとお気に入りが見つけやすくなります。

 

皮つきと皮なしの特徴

もち麦は皮つきで売られているものと、皮なしで売られているものがあります。

もちもちとした口当たりをより感じやすいのは皮なしのタイプで、白米と同じ感覚で食べたいという方は皮なしがおすすめです。

前述したβ-グルカンは胚乳といって麦の中心部に多く含まれているため、皮なしであってもその効果は期待できると考えて良いでしょう。

ぷちぷちとした存在感のある皮ありは、皮に含まれる食物繊維やポリフェノールもより多く摂れるため、これらの栄養素を積極的に摂りたい方におすすめです。

 

まとめ

もち麦は大麦の一種、もち性の大麦であり、米や小麦と同じように昔から日本で食べられてきた穀物です。

食物繊維が豊富で、特に水溶性食物繊維の一種であるβ-グルカンが豊富に含まれていることから、2016年頃にテレビ報道の影響などを受け健康食として一気に注目を集めました。

主な効果は、β-グルカンをはじめ食物繊維が豊富なことから、腸内環境を良好にする、食後の急な血糖上昇を抑える、コレステロールのバランスを良好に保つなど、現代の日本人が抱えている健康問題に直結します。

このβ-グルカンはもち麦やスーパー大麦に豊富に含まれています。

もち麦に含まれている食物繊維の量は、100gあたり14.6g(水溶性10.3g、不溶性4.3g)、スーパー大麦に含まれている食物繊維の量は、100gあたり23.1g(水溶性8.3g、不溶性14.8g)です。

不溶性の食物繊維は野菜などに多い傾向がありますので、日頃から食物繊維不足を感じている方はもち麦やスーパー大麦を選ぶなど、食生活に合わせて検討するのも良いですね。

どちらも、白米と一緒に炊飯したり、茹でておいてスープやサラダのトッピングとして使用したりと手軽に取り入れることができます。食物繊維をしっかり摂って健康を維持しましょう。

福井医師 福井 美典 /医師(糖尿病専門医・抗加齢医学専門医・救急科専門医・総合内科専門医・栄養療法医・美容皮膚科医)


糖尿病内科・栄養療法・美容皮膚科に従事。
分子栄養学に基づき、不足栄養素を補うことで、 からだの細胞を活性化させる栄養療法を取り入れている。
糖尿病診療においては、からだにやさしい血糖値コントロールを基本に、低糖質・高たんぱく質の食事の大切さを、臨床で自ら栄養指導をしている。
美容皮膚科診療においては、美容施術のみならず、栄養療法を基本としたインナーケアにも尽力している。
公式instagram:https://www.instagram.com/fukuinaika.biyou.eiyou/
公式HP:https://www.seijinkai-clinic.com/

参考文献
・食物繊維の必要性と健康 – e-ヘルスネット – 厚生労働省(令和6年1月1日閲覧)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
・令和元年 国民健康栄養調査結果概要 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf
・農林水産省 過去の相談事例 https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1505/01.html
・日本人の食事摂取基準(2020年度版)(厚生労働省ホームページ) https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586568.pdf
・日本食品標準成分表2020年版(八訂) 食品データベース https://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html
・もち麦栄養価 https://www.zennoh.or.jp/hr/iine/mochimugi/
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