イヌリンを料理にプラス!簡単な使い方を紹介
腸活が話題になることも多く「イヌリン」をとったことがあるという方も多いのではないでしょうか。
食物繊維の一種であるイヌリンは腸内細菌を活性化し、腸内フローラを良好に保つサポートをしています。
この記事では、イヌリンにはどんな健康効果があるのか、簡単な使い方について詳しくお伝えします。
パウダータイプのイヌリンを食事に入れる時のポイントやおすすめの使用方法もお伝えしますのでぜひ試してみてください。
腸内フローラの改善には継続することが大切ですので、まずはできるだけ簡単な方法でとり入れることがおすすめです。
イヌリンとは
イヌリンはチコリの根や菊芋、ごぼうなどに多く含まれている成分で水溶性食物繊維の一種です。
ごぼうや玉ねぎなど、普段私たちが食べている食品にも含まれているため、昔からなじみのある食物繊維であり、それだけ安全性が高いということもいえます。
人々が食べてきた歴史は長く、古代ギリシャでも、イヌリンを多く含む野菜であるチコリの健康効果が記録されており、薬のようにも使われることもありました。
健康に良い成分としても知られていますが、砂糖や脂肪の代替など、食品加工の分野でも広く利用されています。
水溶性食物繊維の一種
イヌリンは水溶性の食物繊維に分類されます。
食物繊維とは「人の消化酵素で消化できない難消化性の食品」と定義されており、 水に溶けやすい水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維に大きく分けられます。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維、どちらも体に有益な働きをしますが、水溶性食物繊維の多くは腸内細菌のエサとなり善玉菌を増やす働きがあります。
欧米など世界的に一番多く使われている水溶性食物繊維はイヌリンで、海外では最も知られている水溶性食物繊維といえます。
イヌリンの効果
イヌリンは体の中で人に有益なさまざまな働きをします。
1.整腸作用
イヌリンは、腸内細菌によって発酵(利用)されます。
腸内で善玉菌のエサとなるため、善玉菌を増やし、活性化させることができるのです。
水溶性食物繊維は色々な種類があり、すべてが善玉菌に利用されるわけではありません。
2.食後の血糖値が急激に上がるのを防ぐ
食事に食物繊維が豊富な食品をとると、食べたものがゆっくり消化・吸収されるため、血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。
血糖値が急激に上がると、血管を傷つける、糖尿病の原因になるなど、健康にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
食物繊維の種類によって食後の血糖値の上昇を抑えるメカニズムは様々ですが、イヌリンは小腸におけるグルコースの吸収を抑制する作用と腸内細菌のエサになるとき短鎖脂肪酸を産生されることで、短鎖脂肪酸を介して血糖値の上昇を緩やかにすることが知られています。
3.脂質の吸収を抑える
水に溶けると粘り気のある液体になる水溶性食物繊維は、食べ物が体内で移動する速度を遅くする役割があります。
食物繊維を摂取すると、体内でコレステロールから作られる胆汁酸の体外(便中)への排出を促進して、血中コレステロール値を下げることが知られており、健康なバランスを保つ助けになります。
コレステロールは、細胞膜やホルモン、胆汁酸の材料として必要な物質ですが、バランスが崩れると動脈硬化の原因になる可能性があるため、注意が必要です。
イヌリンをとるには
イヌリンは食品にも含まれている成分ですが、多くの量をとりたい場合は食事に混ぜて使うのも良いでしょう。
イヌリンを多く含む食品
イヌリンの含有量が最も多いのはチコリの根や菊芋です。
チコリの根や菊芋には、15~20%のイヌリンが含まれているといわれています。
地域によっては、家庭料理に使われることが少ないため、食べたことがない人もいるかもしれません。
チコリの根や菊芋には劣りますが、普段私たちが食べている身近な野菜にもイヌリンが含まれており、にんにくは9~16%、ごぼうは3.5~4%、玉ねぎは2~6%ほど含まれているといわれています。
パウダーやシロップの活用
イヌリンは水溶性食物繊維の一種で、日本でもパウダーやシロップタイプの商品が販売されています。
欧米などでは取扱量の最も多い水溶性食物繊維はイヌリンで、海外では最も一般的な食物繊維といえるでしょう。
イヌリンと比較されやすいのが同じ水溶性食物繊維である難消化性デキストリンです。
どちらも水溶性食物繊維であり、腸内細菌のエサとなりますが、難消化性デキストリンは摂取量の半分が腸内細菌のエサとなり、イヌリンは摂取量のすべてがエサになるといわれています。
イヌリンパウダーの活用方法
イヌリンは、パウダータイプで販売されていることが多く、水に溶けやすい性質を持つため普段の料理に加えることができます。最近は、シロップタイプのイヌリンも販売されており、ますます簡単に摂取することができます。
飲み物にプラス
イヌリンは水に溶けやすいものが多いため、飲み物に手軽に加えることができます。
習慣的に飲んでいるものに加えることで毎日続けやすくなります。
ほのかな甘みもあるため、コーヒーや紅茶に砂糖の代用として入れるのも良いですね。
また、イヌリンは、苦みや渋みをうまく包み込み、味をまろやかにする効果があるため青汁のような独特の味も飲みやすくなります。
いつ摂取しても良いですが、水溶性食物繊維の血糖上昇抑制効果や脂肪の吸収を抑える効果を考慮すると、食事前や食事と一緒に摂取するとより良いでしょう。
イヌリン入りごはん
イヌリンは水に溶けやすく耐熱性が高いため、毎日食べているごはんに加えるのもおすすめです。
炊飯しても食物繊維の量はほとんど変わりません。
それだけではなく、イヌリンには保湿性があり、炊きあがりがしっとり、もちもちとした食感に仕上がります。
普通に炊いたごはんよりもしっとり感が続くため、冷めても味が落ちず、お弁当など時間が経ってから食べるものにも大活躍します。
味噌汁・スープにプラス
イヌリンは加熱に強いため、いつも食べているさまざまな料理にプラスして使用できます。
ハンバーグや卵焼きなどのメニューに加えても良いですが、より手軽に使いたい場合は、普段の味噌汁やスープに入れるのもおすすめ。
野菜は食物繊維が豊富ですが、不溶性食物繊維が豊富なものが多いため、水溶性食物繊維が不足しがちです。
具だくさんの野菜を入れた汁物にイヌリンを入れると、良好な腸内フローラ維持にとって重要な不溶性食物繊維、水溶性食物繊維を同時にとれるため腸活にもってこいです。
もちろん、野菜が苦手な方や、作る時間がない方は市販の粉末スープにイヌリンを加えて食物繊維量を増やしても良いですね。
ヨーグルトにプラス
イヌリンをヨーグルトに加えると、ヨーグルトに含まれるビフィズス菌や乳酸菌とそのエサとなる水溶性食物繊維を同時にとれるため、一気に腸活効果がアップします。最近では、これを「シンバイオティクス」と呼ぶことがあります。
また、イヌリンはほんのりとした甘さがあることが多いため、お砂糖の代わりに使えば糖類の摂取はもちろん、カロリーも抑えることができます。
お砂糖が1g約4kcalであるのに対してイヌリンは1g約2kcalと半分のエネルギーです。
カロリーは半分で、食物繊維の摂取量を増やすことができるので、ダイエットにも向いています。
このように手軽に摂取することができるイヌリンですが、一度にたくさん摂取するとおなかが緩くなることがありますので、摂取目安量を守って続けていきたいですね。
まとめ
イヌリンは、チコリの根や菊芋、ごぼう、にんにくなどに多く含まれている水溶性食物繊維の一種で、健康効果の高い栄養成分です。
イヌリンは、パウダータイプで販売されていることが多く、水に溶けやすく熱に強い性質を持つため普段の料理に加えることができます。
習慣的にとっている飲み物やごはん、スープやヨーグルトなど、いつものメニューに加えるのが長く続けられるポイントです。
福井 美典 /医師(糖尿病専門医・抗加齢医学専門医・救急科専門医・総合内科専門医・栄養療法医・美容皮膚科医)
糖尿病内科・栄養療法・美容皮膚科に従事。
分子栄養学に基づき、不足栄養素を補うことで、 からだの細胞を活性化させる栄養療法を取り入れている。 糖尿病診療においては、からだにやさしい血糖値コントロールを基本に、低糖質・高たんぱく質の食事の大切さを、臨床で自ら栄養指導をしている。 美容皮膚科診療においては、美容施術のみならず、栄養療法を基本としたインナーケアにも尽力している。 公式instagram:https://www.instagram.com/fukuinaika.biyou.eiyou/ 公式HP:https://www.seijinkai-clinic.com/ |
・食物繊維 | e-ヘルスネット 厚生労働省(令和6年2月1日閲覧)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html