もしあなたが、便秘がち、お腹の張り、肌荒れ、ドガ食いしちゃう、イライラ、下腹ぽっこり、ネガティブ、やる気が出ない、むくみ、冷えの症状に覚えがあるなら、腸が太っている「腸太り」という状態になっていることが一つの要因かもしれません。水を飲んでも、空気を吸うだけでも太る、、と嘆く前に、腸活マッサージで解消していきましょう。
腸の健康は脳の健康
腸活のポイントは、大きく「食事」と「運動」と言われますが、運動といってもマッサージやストレッチなどの軽いものでOK!
最近、血活という言葉を耳にするようになりましたが、ストレッチやマッサージを行うと、血行が良くなります。
また、「腸脳相関」「脳腸相関」といった言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、脳と腸は自律神経系や液性因子(ホルモンやサイトカインなど)を介して密に関連している※1、お互いに影響を及ぼしあっていることが知られています。腸が元気だと脳が活性化するので、脳を鍛えるためにも腸がしっかり整っていることがとっても大切です。
腸太りかもしれない現代人
人の腸の長さは7~8mあると言われますが、年を重ねるに従ってビヨンと伸びていきます。70代の人は、50代の頃に比べると7cmほど伸びるそうで、そうなると、お通じに影響も出てしまうそうです。便秘予防のためにも、腸をほぐし促すことは有効と言えそうです。
腸太りの原因
腸太りってなに?
そして、腸太りの原因は 不規則な生活、 偏った食事、 浅い胸呼吸、 ストレス、 運動不足 などと言われます。
思い当たる人は多いと思いますが、3つ目の「浅い胸呼吸」などは、無意識のうちにそうなっているケースもあると思いますので、意識して改善していきたいですね。
腸太りを自覚チェック
ここで、自分の腸を触って、状態をチェックしてみましょう。腸の調子が悪いと思っている方はもちろん、私は大丈夫!と思っている方も、この機会に自分の腸と向き合ってチェックしてみてくださいね。
- お腹全体が張る感じがある
- 下腹がぽっこり出ている
- おへその左下のあたりが硬い
- お腹が手より冷えている
- お腹を押すと全体的に痛い
どうですか?該当するポイントはありましたか?お腹が冷えているなとか、あれ?痛みがある、など気づいた方もいらっしゃるでしょうか。今はそれほど当てはまることがない、あるいは軽いレベルという場合でも、予防のためにも良いとされる「腸活マッサージ」をとりいれてみましょう。
また、リフレクソロジーで知られる足裏のマッサージや、脚のリンパの流れを整えることも、腸が温まることで腸太りの解消に効果的と言われていますので、あわせてご紹介したいと思います。
腸もみの基本姿勢とやり方
腸マッサージ(腸もみ)は、仰向けに寝て、腸がリラックスした状態で行うと、効果的と言われます。腸の位置をイメージして、指の腹を使いながら、手全体を押し込むように行いましょう。
腸もみ1/小腸を5か所
まずは、小腸のあるお腹の内側部分から。おへその周りを時計回りに、腹式呼吸をしっかりとキープして、3秒押しもみ、2秒で戻す。
腸もみ2/大腸を5か所
次に大腸は、骨盤の内側から、時計回りに、小腸よりもやや強めに。たまった便やガスを押し出すイメージでマッサージを行います。
腸もみ3/便がたまるS状結腸をやや強めに
最後に、便利のたまり場でもあるS状結腸をさらに強めに。ここが硬い場合は、お通じがスムーズではないことが多いようなので、ほぐしていきましょう。
足裏マッサージで内臓力アップ
足裏には内臓に深く関係するツボがあり、ひざや脚のつけ根などリンパ液を流すポイントがあるとされます。足裏や脚をさするようにマッサージすることで、体がポカポカ温まり、血行や水分の代謝がよくなることも。しっかり刺激してほぐしていくことで、より腸に働きかけます。
ツボの宝庫、足裏をさする
足裏のマッサージは、左足から始めます。ギュッと押さずに、息を吐きながら、ゆっくりと、さするように、イラストの順番に3~5回繰り返して、右足もさすっていきます。
くるぶしから脚のつけ根にリンパを流す
脚も左から行います。左足を立てたら、手を軽く握って、脚の両サイドを挟むようにあてます。くるぶしをくるっと回るところからスタートして、ずーっと骨に沿うような感じで、少しイタ気持ちいいくらいの強さで、少しずつ力を強くしながら、3~5回さする。左足が終わったら右足を同じように行います。
もものつけ根をスッとこする
最後に、もものつけ根に両手を指を閉じておき、腰の方からつけ根に向けて、3~5回さすって一連のマッサージが完了。
腸もみとダイエット
腸活マッサージ(腸もみ)は、エクササイズやトレーニングなどを合わせると、ダイエット効果を期待できると言われています。
大腸で腸内細菌により産生される酢酸やプロピオン酸、酪酸などの「短鎖脂肪酸」は、ヒトの恒常性(生体の内部や外部の環境因子の変化に関わらず生理機能が一定に保たれる性質※2)維持機能に重要な役割を果たしていること※3、より具体的には、生体のエネルギー源であり、排便の促進、腸内pHを下げることでの病原菌の繁殖抑制、免疫システム向上効果、ミネラルや水の吸収促進効果など※4が近年の研究で明らかにされています。
アメリカで行われた研究では、運動すると腸内の短鎖脂肪酸が増えることが分かり、運動・トレーニングと腸活は無縁ではないことが明らかになってきました。
ポイントは「継続」
腸活マッサージと一緒に行う運動として取り入れやすいのは、ウォーキング。週2日30分くらいいつもより早めに腕を振って歩くと、体が温まって温活にもなり、より効果的です。
ダイエット効果を求める場合は、汗をかく程度の強度のトレーニングを30分~60分、週3の頻度で行うことがよいとされますが、いずれもポイントは「継続」。
飽きてしまわないように、ウォーキングは歩くコースを変えたり、音楽を聴きながら歩いてみるなど、「続ける」を意識して、無理のない範囲で続ける工夫をしていきましょう。
腸活は食事が9割+スキマ時間にマッサージを
スキマ時間に自宅で簡単にできる、腸活マッサージ(腸揉み)や足裏マッサージを紹介しました。無理のない範囲で、今日からでもやってみよう!って思っていただけたら幸いです。
また、腸活は食事における効果が9割と言われることもあるほど、食べるものに気を使うことが重要です。マッサージや運動とあわせて、野菜や雑穀など食物繊維の多い食品を摂るなど、食事でもしっかり腸活していくと、より効果的なので、併せてチェックしてみてくださいね。
この記事はこの方に監修いただきました。
工藤 孝文(くどうたかふみ ) 日本糖尿病学会・日本高血圧学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・小児慢性疾病指定医。 内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科院長として地域医療に力を注いでいる専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療など。NHK「ガッテン!」では、2018年度の最高視聴率を獲得している。著書・監修書籍は、100冊以上におよび、Amazonベストセラー多数。著書:アスコム「やせる出汁」15万部突破のベストセラーとなっている。
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※1:公益財団法人 腸内細菌学会(https://bifidus-fund.jp/keyword/kw033.shtml )
※2:埼玉大学バイオホメオスタシス研究センター(http://www.saitama-u.ac.jp/iron/modules/vssections/uploads/BHRC.pdf
※3:水島莉那, 後田ちひろ, and 木村郁夫. “1. 肥満・糖尿病の病態と腸内細菌叢 3) 短鎖脂肪酸を介した宿主のエネルギー・糖代謝調節.” 糖尿病2020; 63(6): 373-376.(https://doi.org/10.11213/tonyobyo.63.373
※4:伊藤挙, et al. 大学生男子陸上長距離走選手における食物繊維の増量と短鎖脂肪酸. 国士舘大学体育研究所報2021; 39: 161-164.(https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000034062-00)
主婦の友社「1日3分 腸もみ足裏もみダイエット」監修:真野わかさん(https://mano-libre.com/)