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コラム

食物繊維たっぷりの食事で筋トレ効果アップ

  • 食物繊維・ミネラルを補う!

食物繊維たっぷりの食事で筋トレ効果アップ

筋トレをしている時に、たんぱく質を意識してとっている方は多いのではないでしょうか。

もちろん、筋肉をつけるためにたんぱく質は必要ですが、腸内環境が悪いとせっかくとった栄養がうまく働かない可能性があります。

まずは栄養を吸収する「腸」の環境を整えてから、筋肉をつけるのに必要なたんぱく質やビタミン、ミネラルをとるようにできるといいですね。

この記事では筋トレ効果を上げるためにとりたい栄養素と、その元となる腸内環境の整え方について解説します。

筋トレだけでなく、運動で減量を目指したい方にも役立つ内容ですので、ぜひ参考にしてください。

 

筋トレ時にとりたい栄養素

スポーツをやる方にとって栄養管理が重要であることは広く知られるようになりました。

どんなに筋トレをしても、栄養がうまくとれていないと筋肉がつきにくかったり、痩せにくかったりと、せっかくの効果が出にくくなってしまいます。

運動と食事はセットで取り組むのが理想です。

 

たんぱく質

たんぱく質は筋肉の構成成分である他、髪の毛や皮膚、ホルモンの材料になるなど、体を構成する上でなくてはならない成分です。

たんぱく質は20種類のアミノ酸が多数結合して構成されていますが、アミノ酸には体内で合成できない「必須アミノ酸」と体内で合成できる「非必須アミノ酸」があります。

この体内で合成できない「必須アミノ酸」を多く含む方が、利用効率が高く良質なたんぱく質とされています。

動物性たんぱく質の方が植物性のたんぱく質に比べて必須アミノ酸のバランスが良いですが、肉や魚は同時に脂肪も摂取しやすいため、大豆や豆腐などの植物性たんぱく質も上手に組み合わせていきましょう。

 

ビタミン

ビタミンとは、微量でありながら体の機能を保つのに重要な働きをする有機化合物で、体内で合成することがほとんどできないため、食事から補う必要があります。

運動する時に特に意識したいビタミンは、ビタミンB群とビタミンDです。

ビタミンB群は、エネルギーを代謝する時に必要なビタミンで、運動でエネルギー量が増えると比例して必要になってくるビタミンであり、減量をしたい時にもしっかりととりたい成分です。

 

<多く含まれている食品>

ビタミンB1 豚肉、胚芽、落花生 など

ビタミンB2 胚芽、レバー、卵、肉、魚 など

ビタミンB6 ヒラメ・イワシなどの魚、レバー、胚芽 など

ビタミンB12 ニシン・サバなどの魚、レバー など

 

ビタミンD は体内でカルシウムの吸収を促して骨を強くすると共に、筋肉の合成を促す作用があります。

 

<多く含まれている食品>

魚介類、きのこ、卵 など

 

ミネラル 

ミネラルは無機質とも呼ばれ、体を構成する主要な4元素(酸素、炭素、水素、窒素)以外を指します。

体内で合成できないため食物としてとる必要があり、特に運動をした場合は汗と一緒に体外に排出されやすいため、きちんと補うことが大切です。

ミネラルの中でも運動している人がとりたいのが亜鉛とマグネシウムです。

亜鉛は筋肉に多く含まれ、たんぱく質の合成に関わっています。

 

<多く含まれている食品>

牡蠣、レバー、牛もも肉 など

 

マグネシウムは筋肉の収縮や体温調節、脂質の代謝に関わっているミネラルで筋肉にも多く含まれています。

 

<多く含まれている食品>

ひじき、のりなどの藻類、未精製の食品 など

 

食物繊維

栄養を吸収する腸の環境を整えるのが食物繊維です。

腸内には1000種類100兆個もの細菌達が生息していますが、その中の善玉菌のエサとなって、働きを活性化させるといわれているのが水溶性食物繊維です。

 

食物繊維と腸内環境

腸内細菌は、人の体に良い影響をもたらす「善玉菌」、悪い影響をもたらす「悪玉菌」、多い方の味方につく「日和見菌」の3つのグループに分けられます。

理想的な割合は「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」といわれており、バランスの良い腸内環境のためには善玉菌が優勢な状態にすることが大切です。

善玉菌を増やすには、生きた善玉菌を含む食品を直接とることや、善玉菌が好んで食べる「エサ」を摂取する方法があり、食事で補うことができます。

この善玉菌のエサとなるのが、多くの水溶性食物繊維やオリゴ糖です。

 

食物繊維とは

食物繊維は水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」に大きく分けられます。

水溶性の食物繊維は腸内の善玉菌のエサとなって善玉菌を活性化する、糖や脂肪の吸収を緩やかにするなどの働きがあります。

不溶性の食物繊維は主に、便の材料となって腸の中で膨らみ、腸の蠕動運動を促す働きがあります。

どちらも腸の健康には欠かせませんが、意識しないととりにくいのは水溶性の食物繊維だといわれています。

水溶性食物繊維やオリゴ糖を摂取し、善玉菌を増やすことで、短鎖脂肪酸が活発に産生され、腸内環境を整えます。

 

腸内環境は健康の基盤

人の免疫に関係している細胞のうち、6~7割が腸管のリンパ節に存在しているといわれています。

そのため、腸内環境が良好であることは排便コントロールだけでなく、体全体の健康に関わっているのです。

風邪の流行る時期に腸活がすすめられるのも、免疫力アップにつながることが理由です。

 

ダイエットにも効果的

腸内環境を整えることは、ダイエットにも欠かせません。

腸内環境が悪いと便秘になりやすく、不要なものを体内に溜め込みやすくなります。

また、食物繊維の豊富な食品はかさがあり、よく噛んで食べる食品が多いため、エネルギーが少なくても満足でき、ダイエットが成功しやすくします。

 

食物繊維の上手なとり方

腸内環境を整えるためには、善玉菌を含む発酵食品をとることと、善玉菌のエサである食物繊維を摂取する方法があります。

昔は十分にとれている人の多かった食物繊維ですが、食生活の変化と共に摂取量が減っている傾向があります。

筋トレ時には肉や魚に注目しがちですが、野菜やきのこ、海藻など食物繊維にも目を向けることが大切です。

 

食物繊維はどのくらいとればいい?

厚生労働省の日本人の食事摂取基準2020を参考にすると、食物繊維の目標摂取量は18~64歳男性で約21g以上、女性で約18g以上です。

 

食物繊維の食事摂取基準(g/日)】

性別 男性 女性
年齢等 目標量 目標量
18~29歳 21以上 18以上
30~49歳 21以上 18以上
50~64歳 21以上 18以上
65~74歳 20以上 17以上
75歳以上 20以上 17以上
妊婦・授乳婦 18以上

※日本人の食事摂取基準2020より抜粋

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)1―4 炭水化物

 

日本人が実際にとっている食物繊維量は、目標量を大きく下回っているため、実現しやすい量としてこの数値が設定されたという背景があります。

そのため、目標量より多くとっても問題ありません。

 

足りていない人が多い

実際の摂取量は多くの年代で目標量に届いていないとの報告があります。

特に水溶性食物繊維の摂取量が少ないため、海藻や果物、もち麦やスーパー大麦などの穀物を積極的に取り入れることをおすすめします。

昔ながらの和食は食物繊維の豊富な食材を使うことが多いため、洋食よりも和食を多くすることを意識したいですね。

 

毎日とるコツ

食物繊維は1度に大量にとるよりも、こまめに摂取したい栄養素です。

食物繊維の効果は、腸内環境を良くする他、一緒に食べたものの吸収を緩やかにして血糖値の急上昇を防ぐ、脂質の吸収を抑制するなどの効果が期待できます。

こまめに摂取するためには、食物繊維が豊富に含まれている食品を知り、いつもの献立に取り入れること、おやつや飲み物などで補うことを意識すると良いでしょう。

 

食物繊維を豊富に含む食品

食物繊維の多い食事は意識していないとなかなか難しいのが現状です。

食物繊維の多い食品を意識して、毎日の献立に組み込んでいきましょう。

運動する時に注意したいのは、運動直前に消化の悪い食品をたくさん食べると消化できずに気分が悪くなってしまうことがあるので、1日の中で調節しましょう。

 

野菜・果物

食物繊維の他、ビタミン、ミネラルの大事な給源であり、野菜は1日350g、果物は1日200gの摂取が推奨されています。

少ないと感じている方は毎食野菜料理を1品つけたり、おやつを果物にしたりするなどの工夫ができるとよいです。

野菜ジュース等で補う方もいますが、ジュースの場合は飲みやすくするために食物繊維を除いていることが多いため、野菜や果物そのものをとることをおすすめします。

 

海藻・きのこ

食物繊維が豊富な海藻、きのこは毎日取り入れたい食材です。

どんなメニューにも入れやすく、乾燥させてあるものや、冷凍もできるためこまめに使いやすい優れものです。

常備しておいて、積極的に使いましょう。

 

穀類 

大麦やもち麦、スーパー大麦は食物繊維の中でも水溶性食物繊維を豊富に含んでいます。

普段食べている主食を食物繊維の多い食品に代えるだけで手軽に摂取できるので、時間のない方にもおすすめの方法です。

主食は炭水化物が多く含まれていますが、同時にたんぱく質も摂取できます。

筋トレ中にとりたいたんぱく質、食物繊維が同時にとるのはうれしいですね。

 

まとめ

筋肉をつけたい時の食事は、まずは栄養を吸収する「腸」の環境を整えてから、筋肉の構成成分であるたんぱく質やビタミン、ミネラルをとることを心がけましょう。

腸内環境を整えるために重要なのは食物繊維で、多くの日本人は摂取量が足りていないといわれています。

毎日こまめに摂取するには、野菜やきのこ、海藻類を積極的にとること、主食に食物繊維の豊富なスーパー大麦やもち麦を加えることなどがおすすめです。

食物繊維を摂取する際に注意したいのは、運動直前に消化の悪い食品をたくさん食べると消化できずに気分が悪くなってしまうことがあるので、1日の中で調節しましょう。

筋トレ時には肉や魚などのたんぱく質に注目しがちですが、野菜やきのこ、海藻、穀類など食物繊維をしっかりと摂取し腸内環境を整えることも意識できると良いですね。

 

福井医師 福井 美典 /医師(糖尿病専門医・抗加齢医学専門医・救急科専門医・総合内科専門医・栄養療法医・美容皮膚科医)


糖尿病内科・栄養療法・美容皮膚科に従事。
分子栄養学に基づき、不足栄養素を補うことで、 からだの細胞を活性化させる栄養療法を取り入れている。
糖尿病診療においては、からだにやさしい血糖値コントロールを基本に、低糖質・高たんぱく質の食事の大切さを、臨床で自ら栄養指導をしている。
美容皮膚科診療においては、美容施術のみならず、栄養療法を基本としたインナーケアにも尽力している。
公式instagram:https://www.instagram.com/fukuinaika.biyou.eiyou/
公式HP:https://www.seijinkai-clinic.com/

参考文献
・食物繊維の必要性と健康 – e-ヘルスネット – 厚生労働省(令和6年4月1日閲覧)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
・たんぱく質- e-ヘルスネット – 厚生労働省(令和6年4月1日閲覧)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.html
・ビタミン- e-ヘルスネット – 厚生労働省(令和6年4月1日閲覧)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html
・ミネラル – e-ヘルスネット – 厚生労働省(令和6年4月1日閲覧)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-035.html
・国民健康・栄養調査 令和元年国民健康・栄養調査 年次 2019年 https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=
datalist&toukei=00450171&tstat=000001041744&cycle=7&year=20190&month=0&tclass1=000001148507&tclass2val=0
・栄養素等の目安量等_日本人の食事摂取基準(2020年版)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
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