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鉄分が多く含まれる食べ物とは?効率よく摂って貧血対策!

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鉄分が多く含まれる食べ物とは?効率よく摂って貧血対策!

 

鉄分は、からだの機能を維持するために欠かせない栄養素です。

しかし、鉄不足で引き起こされる貧血は、隠れ貧血も含めると日本人女性の約40%にみられるといわれています。

貧血といえば、めまいや立ち眩みを思い浮かべますが、頭痛や気力の低下、むくみ、肌荒れ、爪の変形など、さまざまな不調の原因になるため注意が必要です。

この記事では、鉄分を多く含む食品をはじめ、鉄分がどのような役割をしているのか、1日にどのくらいの量の鉄分を摂れば良いのかについて詳しくお伝えします。

効率的に体に取り入れるために、鉄分を多く含む食べ物と一緒に、鉄分の吸収をよくする食べ物もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

鉄分とは?

鉄分は、人間の体にとって必要不可欠な栄養素であり、ミネラルの一種です。

成人の体には、おおよそ3~5グラムの鉄が存在し、「機能鉄」「貯蔵鉄」としてさまざまな働きをしています。

赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンなど、体内の「機能鉄」が全体の70%を占め、肝臓や骨髄などに蓄えられている「貯蔵鉄」は30%を占めているといわれています。

鉄分が不足すると、まずストックされている「貯蔵鉄」が使われ、その後「機能鉄」が使われていきます。

人の体は鉄を自己合成することができないため、食事から摂取しなければなりません。

 

鉄の性質と体の中での働き

鉄分には、生命維持に欠かせない酸素を体の隅々まで運ぶ役割があります。

酸素を運ぶ役割を担っているのが赤血球に含まれるヘモグロビンですが、ヘモグロビンは主に鉄を含む「ヘム」という色素と、たんぱく質が結合してできています。

酸素と結合して血液として全身をめぐるため、鉄不足は酸素不足に直結してしまいます。

鉄分が不足すると、体内で適切な酸素供給が行われず、結果として、頭痛、動悸、疲労感、めまいなどの不調の原因になります。

酸素を全身に行き渡らせ、健康な日々を送るためには毎日食事からしっかりと鉄分を摂取することが大切です。

 

隠れ貧血かも!?鉄が不足すると

鉄分が不足すると、体内の機能鉄が不足し、ヘモグロビンの生成が減少します。その結果、ヘモグロビンの濃度が低下し、体内の酸素供給が不十分に。

この状態が長く続くと、鉄欠乏性貧血を引き起こすリスクが高まります。

しかし、しばらくは貯蔵鉄が使われるため、この時点で体に大きな不調が起きる可能性は低く、血液検査をしてもヘモグロビン値に異常はみられないことがほとんどです。

やがて体の中の貯蔵鉄を使い果たすと、ヘモグロビン値が低下して「なんとなく疲れる」「食欲がない」などの鉄欠乏症のサインがでるようになり、最終的に鉄欠乏性貧血になります。

貯蔵鉄はフェリチンで評価することができるため、ヘモグロビン値は正常でも疲れやすい、気力の低下、肌荒れなどがみられる場合は調べてみるのも良いでしょう。

 

1日に摂りたい鉄分の量

1日に摂りたい鉄分の量は男女で異なり、女性は月経の有無や妊娠・授乳期にあるかどうかによっても異なります。

 

目標量と上限量

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を参考に、鉄分の1日に摂りたい「推奨量」とこれ以上は摂らない方が良い「上限量」をみてみましょう。

鉄分の食事摂取基準(㎎/日)

性別 男性 女性
年齢等 推奨量 許容上限量 推奨量

月経なし

推奨量

月経あり

許容上限量
18~29歳 7.5 50 6.5 10.5 40
30~49歳 7.5 50 6.5 10.5 40
50~64歳 7.5 50 6.5 11.0 40
65~74歳 7.5 50 6.0 40
75歳以上 7.0 50 6.0 40
妊婦(付加量)

初期

+2.5
中期・後期 +9.5
授乳婦(付加量) +2.5

鉄分の体への吸収率は鉄の種類、一緒に摂る栄養素(吸収を促進または阻害する)、鉄の必要状態によっても異なるため、はっきりと算出することは難しいとされています。

日本人は植物性食品を通して鉄を摂っていることが多いことを考慮して目標量が設定されています。

鉄分を過剰に摂取すると、便秘や胃の不快感、亜鉛の吸収が妨げられる可能性があるとされています。

通常の食生活で鉄分過剰になることはほとんどありませんが、サプリメントなどを利用する場合は、摂りすぎに注意しましょう。

 

月経のある女性は特に意識

貧血は女性の方が多くみられ、その原因として、月経によって失われる血液量が多いこと、妊娠期や授乳期に鉄の必要量が増加することなどがあげられます。

女性は、月経のありなしで鉄の必要量が大きく異なるため、経血の量が多い女性は特に鉄分が欠乏しやすいといえるでしょう。

さらに妊娠すると、妊娠末期には妊娠していない時と比べて血液量が35~40%程度増加し、貯蔵鉄が使われるため、妊娠月数が進むにしたがい貧血の頻度が高くなります。

産後の授乳期間は多くの血液が必要となり、より多くの鉄分が必要になります。

また女性では、更年期前後に子宮筋腫などを患う方も増えてきており、本人が気づかないうちに貧血になっているケースも多くみられます。

 

鉄分の多い食べ物

鉄分を多く含む食材といえば、レバーを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、レバーのほかにも、鉄分を多く含む食品はたくさんあります。

動物性食品では、牛肉やあさり、かつおなど、植物性食品では、大豆製品や青菜、ココアなどに鉄分が多く含まれています。

コンビニやスーパーなどでも鉄分が豊富な食材を手軽に手に入れることができるため、貧血が気になる方や鉄分が足りていないと感じる方は、普段の食事に鉄分を多く含む食材を取り入れてみると良いでしょう。

 

ヘム鉄と非ヘム鉄のちがい

食べ物に含まれる鉄分には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」があります。

同じ鉄分でも、ヘム鉄と非ヘム鉄では特徴が大きく異なるため、特性を理解して摂取すると良いでしょう。

肉や魚などの動物性食品に多く含まれる鉄をヘム鉄といい、体内への吸収率は25%程とされています。

大豆製品、野菜、海藻類などの植物性食品には、非ヘム鉄と呼ばれる鉄が多く含まれており、体内への吸収率は3~5%とされています。
非ヘム鉄はヘム鉄と比べると吸収率は下がりますが、ビタミンCやたんぱく質を多く含む動物性食品と組み合わせることで吸収されやすくなります。

 

積極的に摂りたいヘム鉄

不足しがちな鉄分を補うためには、吸収率が高いヘム鉄を多く含む肉や魚のような動物性食品を意識的に摂取することがおすすめです。

<ヘム鉄を多く含む食品>

・豚レバー

100gあたり13.0㎎の鉄分が含まれています。

丁寧に血ぬきすることで臭みが気にならず食べやすくなります。栄養価の高いニラと合わせて炒め物にしたレバニラはスタミナアップにももってこいです。

・鶏レバー

100gあたり9.0㎎の鉄分が含まれています。

甘辛煮など少し濃い目の味付けで食べられることが多いです。焼き鳥の鶏レバー串はスーパーでも扱っていることが多いため、手軽に取り入れやすい食品です。

・コンビーフ

100gあたり3.5㎎の鉄分が含まれています。

牛肉を塩漬けにした食品で、缶詰やレトルトパウチで売られているため、忙しい時でも手軽に摂り入れることができます。脂身の少ない牛肉を使用して作られることが多いため、低脂質・高たんぱくなのも嬉しいポイント。皮膚や髪の毛などの細胞を再生するビタミンB2も豊富です。

・牛ひき肉(焼き)

100gあたり3.4㎎の鉄分が含まれています。

牛そぼろにしてストックしておくと、ご飯のお供はもちろん、豆腐やサラダのトッピングなど幅広く使用できます。赤身の多いものを選ぶのが良いでしょう。

・牛肉(もも、赤身肉)

100gあたり2.7㎎の鉄分が含まれています。

牛肉は鉄分の多い食材ですが、同じ赤身の牛肉でも、部位によって鉄分含有量には差があります。もも肉は鉄分が多く、幅広い料理に使いやすい部位です。

・かつお(生)

100gあたり1.9㎎の鉄分が含まれています。

特に血合いの部分に鉄分が多く含まれているので、身と血合いの部分を一緒に食べるのがおすすめです。

鉄分だけでなく、貧血対策に欠かせないビタミンB12も豊富に含まれています。

・さんま(焼き)

100gあたり1.7㎎の鉄分が含まれています。

DHAやEPAなど良質な脂質をたっぷりと含んでいるさんまは、鉄分やビタミンDが豊富で積極的に摂りたい食材です。

付け合わせとして大根おろしが定番ですが、鉄分の吸収をよくするビタミンCを含み、栄養学的にも理にかなった食べ方です。

 

吸収率アップの工夫で上手に摂りたい非ヘム鉄

植物性食品に含まれる鉄分は、ヘム鉄よりも吸収率の低い非ヘム鉄ですが、一緒に摂るものを工夫することで吸収率をアップすることができます。

非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収されやすくなるため、ビタミンCを含む野菜や果物などと食べるのがおすすめです。

また、動物性たんぱく質も鉄分の吸収を助けるため、植物性食品だけでなくさまざまな食品を組み合わせて摂るのが良いでしょう。

<非ヘム鉄を多く含む食品>

・岩のり、焼きのり

100gあたり岩のりには48.0㎎、焼きのりには11.0㎎の鉄分が含まれています。

おにぎりに焼きのりを巻いたり、ご飯に岩のりをのせたりすれば、無理なく鉄分を補えます。岩のりと焼きのりは、食物繊維やたんぱく質も豊富です。

・乾燥きくらげ

100gあたり35.0㎎の鉄分が含まれています。

細かく刻んで卵と炒めたり、野菜と和えて酢の物にしたりと普段の料理に取り入れやすい食材です。乾物ですのでストックしておくと使いたい時にいつでも使えます。

食物繊維やカルシウムも豊富です。

・純ココア

100gあたり14.0㎎の鉄分が含まれています。

飲み物から鉄分が摂れるため、間食や小腹が空いた時などにも便利です。同じココアでもミルクココアの鉄分量は100gあたり2.9mgと少ないので、純ココアを選ぶのが良いでしょう。

・大豆製品

大豆には鉄分が多く含まれているため、その加工品も鉄分を豊富に含んでいます。

100gあたり、大豆には9.0mg、凍り豆腐には7.5mg、がんもどきには3.6mgの鉄分が含まれています。

大豆製品はたんぱく質が豊富で、さまざまな料理に取り入れやすく、毎日摂りたい食品です。

・パセリ

100gあたり7.5㎎の鉄分が含まれています。

付け合わせに使われることの多いパセリですが、カリウムやカルシウムも豊富な優秀食材です。ビタミンCも多く含むため、鉄分の吸収率をアップすることが期待できます。

・葉大根

100gあたり3.1㎎の鉄分が含まれています。

捨てられてしまうこともある大根の葉ですが、鉄分やカルシウムをはじめさまざまな栄養素が摂れます。刻んでごま油で炒める、浅漬けにするなど調理もしやすいため、葉付きの大根があったら丸ごと買うのがおすすめです。

※動物性食品であるあさりや牡蠣にも鉄分が多く含まれています。これらにはヘム鉄と非ヘム鉄が両方含まれていますが、最近の研究によると非ヘム鉄の方が多く含まれているといわれています。

 

鉄分の上手な摂り方

何を食べるかも重要ですが、同時にどのように食べるかも意識すると良いでしょう。

鉄分の吸収率は一緒に食べるものの影響を大きく受けますが、食べ合わせによっては鉄分の吸収を妨げてしまうこともあります。

鉄不足の改善には、毎日コツコツと、上手に鉄分を摂り続けることが大切です。

 

こまめに摂って摂取量アップ

一度にたくさんの鉄分を摂取しても全てが吸収されるわけではありません。

鉄分は一度に吸収される量が決まっているため、吸収できる量以上の鉄分を摂取しても排出されてしまうのです。

1日3回栄養バランスの良い食事をきちんと摂り、こまめに鉄分を摂取するようにしましょう。

 

スーパーフードを活用

スーパーフードとは栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品のことをさし、日ごろから取り入れたい食品です。

日本人は鉄のほかにも、カルシウムや亜鉛などのミネラルが不足しやすいため、栄養豊富なスーパーフードを取り入れると効率よくミネラルを補うことができます。

中でも毎日の食事に取り入れやすくおすすめなのは、スーパー大麦などの穀物です。穀物の種類にもよりますが、スーパー大麦は鉄や亜鉛などを豊富に含むことから特におすすめです。

白米と一緒に炊飯するなど主食にまぜて使用すれば、いつもの食事スタイルを大きく変えることなく、簡単に栄養のバランスを整えることができます。

 

食べ合わせに注意

コーヒーや緑茶などに含まれるタンニンは、鉄の吸収を抑えることが知られています。

そのため、食事と一緒に飲料を摂る時は、濃いコーヒーや緑茶などを極力控え、水や、タンニンの含まれていない麦茶などを選ぶのがポイントです。

また、豆類の皮に多く含まれるフィチン酸も鉄分の吸収を妨げるため、菜食主義の方やヴィーガンの方など豆類を主なたんぱく源としている場合は、鉄分の多い食品をより意識した方が良いでしょう。

反対に、鉄分は胃酸が分泌されると吸収されやすくなります。

柑橘類や酢などの酸っぱいものを食べたり、よく噛んで食べたりして胃酸の分泌を促すと、鉄分の吸収率を高めることが期待できます。

 

まとめ

鉄分は、血液中の酸素を運搬するヘモグロビンの元となるなど、からだの機能を維持するために欠かせない栄養素です。

鉄分が慢性的に不足すると、鉄欠乏性の貧血になり、頭痛や気力の低下、肌荒れ、爪の変形、むくみなど、さまざまな不調がみられます。

不足しないようにしたい鉄分ですが、人の体内では合成することができないため、食べ物から補わなければなりません。

食べ物に含まれる鉄分には、動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品に多く含まれる「非ヘム鉄」があります。

ヘム鉄を含む食品には、レバーや牛肉、かつおなどが、非ヘム鉄を含む食品には、のりや大豆製品、スーパー大麦などがあります。

吸収率はヘム鉄の方が良いため、効率よく鉄分を摂取できますが、非ヘム鉄もビタミンCや動物性たんぱく質と一緒に摂ることで吸収率がアップします。

鉄不足の改善には、鉄分の多い食品を意識するとともに、食べ合わせを考慮しながら効率よく摂取しましょう。

 

福井医師 福井 美典 /医師(糖尿病専門医・抗加齢医学専門医・救急科専門医・総合内科専門医・栄養療法医・美容皮膚科医)


糖尿病内科・栄養療法・美容皮膚科に従事。
分子栄養学に基づき、不足栄養素を補うことで、 からだの細胞を活性化させる栄養療法を取り入れている。
糖尿病診療においては、からだにやさしい血糖値コントロールを基本に、低糖質・高たんぱく質の食事の大切さを、臨床で自ら栄養指導をしている。
美容皮膚科診療においては、美容施術のみならず、栄養療法を基本としたインナーケアにも尽力している。
公式instagram:https://www.instagram.com/fukuinaika.biyou.eiyou/
公式HP:https://www.seijinkai-clinic.com/

参考文献
・日本の女性は鉄分不足!その不調、貧血かも?(令和5年11月1日閲覧)https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/anemia.html
・日本の女性は鉄分不足!その不調、貧血かも?(令和5年11月1日閲覧)https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/anemia.html
・鉄 – e-ヘルスネット – 厚生労働省(令和5年11月1日閲覧)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-022.html
・eヘルスネット 貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう(令和5年11月1日閲覧)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-008.html
・健康食品の安全性・有効情報https://hfnet.nibiohn.go.jp/mineral/detail675/
・日本人の食事摂取基準(2020年度版)(厚生労働省ホームページ)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586568.pdf
・日本食品標準成分表2020年版(八訂)食品データベースhttps://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html
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