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ビタミンB6の効果と摂取方法

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ビタミンB6の効果と摂取方法

ビタミンは、1日の必要量は微量でありながら、体の機能を正常に保つためになくてはならない栄養素です。

この記事では、そんなビタミンの中でも、特にたんぱく質の代謝に深く関わるビタミンB6について詳しくお伝えします。

たんぱく質を意識的に多く摂っている方や、妊娠・授乳中の方、高齢の方は必要量も増えますので、積極的に摂りたいですね。

どのくらい摂ったら良いかや、摂取のポイント、具体的な食品についても解説していますのでぜひ参考にしてください。

 

ビタミンB群とは?

ビタミンBは8種類あり、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンのことをまとめてビタミンB群と呼びます。

ビタミンAやCなど、他のビタミンとちがってビタミンB6の種類が多いのは、はじめは1つの物質だと思われていたものが、複数の集合体だとわかり、付け加えられたためです。

ビタミンB群は、3大栄養素である炭水化物、たんぱく質、脂質をエネルギーに変える補酵素として働くため「代謝ビタミン」とも呼ばれます。

 

ビタミンB6の働き

エネルギー代謝の中でも、ビタミンB6はたんぱく質をエネルギーに変える時の補酵素として働きます。

食事で摂ったたんぱく質は一度アミノ酸まで分解されて、再度体に必要なたんぱく質に再合成されますが、分解・再合成の両方にビタミンB6が必要です。

そのため、ビタミンB6は皮膚や粘膜を正常に保つのに役立っています。

ビタミンB6が不足すると湿疹、皮膚炎、舌炎、脂漏性皮膚炎、免疫力低下、貧血などを引き起こすといわれています。

海外では、女性の月経前症候群や妊娠中の悪心嘔吐に効果があるとの研究報告もあり、女性にうれしい働きが期待できるビタミンです。

 

ビタミンB6を効率的に摂るには

ビタミンB6は幅広い食品に含まれていますが、水溶性のビタミンであり加工品や長時間加熱した食品では含有量が減ってしまいます。

できるだけ加工されてない食品や新鮮な食材を選びましょう。

また、水溶性のビタミンは一度に大量にとっても、尿中に流れてしまいます。そのため、できるだけこまめに摂取するのがポイントです。

 

どのくらい摂ればいい?

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、成人の1日あたりのビタミンB6の推奨摂取量は18歳以上男性で1.4mg、18歳以上女性(妊婦、授乳婦を除く)で1.1mgです。

 

  男性 女性
推奨量
(mg/日)
耐容上限量
(mg/日)
推奨量
(mg/日)
耐容上限量
(mg/日)
18~29(歳) 1.4 55 1.1 45
30~49(歳) 1.4 60 1.1 45
50~64(歳) 1.4 55 1.1 45
65~74(歳) 1.4 50 1.1 40
75以上(歳) 1.4 50 1.1 40
妊婦(付加量) 0.2
授乳婦(付加量) 0.3

 

妊娠中は赤ちゃんが成長するのに必要なたんぱく質の必要量が増えるため、たんぱく質の代謝に関わるビタミンB6も多く必要になります。

母乳にもビタミンB6が含まれているため、妊娠・授乳中は推奨摂取量が増えます。

令和元年国民健康・栄養調査の結果によると、実際の摂取量の平均は、男性1.26㎎/日、女性で1.09㎎/日であるため、ビタミンB6が足りていない人が多いことが予想されます。

耐用上限量(これ以上は摂取しない方が良い量)は設定されていますが、通常の食生活で過剰に摂りすぎることはまれです。

サプリメント等を利用している場合は、摂りすぎてしまうことがあるため、目安量を守りましょう。

1日数g、数か月の過剰摂取で感覚神経障害や筋肉の脆弱、精子数の減少などを引き起こしたとの報告があります。

 

ビタミンB6を多く含む食品

ビタミンB6は植物性食品、動物性食品ともに様々な食品に含まれています。

そのため単独で不足することは少なく、欠乏がみられる場合は他の栄養素も不足している場合が多いのが特徴です。

 

植物性食品

ビタミンB6が多く含まれている植物性食品は以下の通りです。

※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より引用

※100gあたり 単位mg

  • にんにく(りん茎)     1.53
  • 小麦胚芽          1.24
  • ピスタチオ(炒り・味付け) 1.22
  • ドライトマト        0.95
  • ブロッコリー(焼き)    0.67
  • スーパー大麦        0.65
  • ひよこ豆(乾)       0.64
  • ごま(炒り)        0.64
  • 玄米            0.45
  • バナナ           0.38
  • 赤ピーマン         0.37

スーパー大麦や玄米はビタミンB6を豊富に含んでいるため、主食に加えることで毎日コンスタントに摂りやすくなります。

また、アスリートなどトレーニングをする方が間食にバナナを摂るのは、糖質の補給だけでなくビタミンB6の供給源としてもおすすめです。

 

動物性食品

ビタミンB6が多く含まれている動物性食品は以下の通りです。

※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より引用

※100gあたり 単位mg

  • みなみまぐろ 赤身     1.08
  • びんながまぐろ       0.94
  • 牛レバー          0.89
  • かつお           0.76
  • うるめいわし(丸干し)   0.69
  • 鶏ささみ          0.66
  • ごまさば          0.65
  • 鶏レバー          0.65
  • 鶏むね(皮なし)      0.64
  • 鮭(しろさけ)       0.64

普段摂取しやすい鶏むね肉や鮭などは、たんぱく質と同時にビタミンB6も一緒に摂れる優秀な食材です。

 

ビタミンB6を毎日摂るコツ

ビタミンB6は幅広い食品に含まれているため、ビタミンB6に限らず栄養バランスを整えることを意識すると自然と摂取できる栄養素です。

同じ食品ばかり摂る、加工品ばかりを摂るなど、食事が偏らないように注意しましょう。

またビタミンB6は、微量ですが腸内細菌からも合成されるため、腸内環境を良好に保っておくことも大切です。

 

スーパーフードを活用する

スーパーフードとは、栄養バランスに優れ一般的な食品より栄養価が高い食品のことです。

いつもの食事に取り入れるだけで、全体の食事のバランスがぐっと良くなるので、外食が多い方や食事が偏りやすい方はもちろん、普段食事に気を付けている方にもおすすめできる食品です。

スーパーフードとして知られるスーパー大麦は、ビタミンB6を含み、食物繊維や鉄、亜鉛などが豊富で日本人が不足しがちな栄養素を補うのにぴったり。

ご飯に混ぜて炊けば調理の手間もなく、献立をいつもと変える必要がないのはうれしいですね。

 

まとめ

エネルギー代謝に関係の深いビタミンB群の中でも、ビタミンB6は主にたんぱく質をエネルギーに変える時の補酵素として働きます。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、成人の1日あたりのビタミンB6の推奨摂取量は18歳以上男性で1.4mg、18歳以上女性(妊婦、授乳婦を除く)で1.1mgです。

実際の摂取量の調査結果からみると不足しやすいビタミンであり、意識して摂る必要があります。

特にたんぱく質を多く摂ることが推奨されるアスリートや妊娠・授乳中の方、高齢の方はたんぱく質と合わせてしっかりと摂りましょう。

ビタミンB6は魚、肉、果物、穀類など、幅広い食品に含まれているため単独では不足しにくい栄養素です。

そのため、同じ食品ばかりや加工品に偏ることなくバランス良く食事を摂取しましょう。

スーパーフードであるスーパー大麦は、ビタミンB6をはじめ、食物繊維、鉄、亜鉛など日本人に不足しがちな栄養素を含むため、毎日の主食に取り入れるのがおすすめです。

 

 

福井医師 福井 美典 /医師(糖尿病専門医・抗加齢医学専門医・救急科専門医・総合内科専門医・栄養療法医・美容皮膚科医)


糖尿病内科・栄養療法・美容皮膚科に従事。
分子栄養学に基づき、不足栄養素を補うことで、 からだの細胞を活性化させる栄養療法を取り入れている。
糖尿病診療においては、からだにやさしい血糖値コントロールを基本に、低糖質・高たんぱく質の食事の大切さを、臨床で自ら栄養指導をしている。
美容皮膚科診療においては、美容施術のみならず、栄養療法を基本としたインナーケアにも尽力している。
公式instagram:https://www.instagram.com/fukuinaika.biyou.eiyou/
公式HP:https://www.seijinkai-clinic.com/

参考文献
・ビタミン- e-ヘルスネット – 厚生労働省(令和6年1月1日閲覧)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html
・日本人の食事摂取基準(2020年度版)(厚生労働省ホームページ) https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586568.pdf
・日本食品標準成分表2020年版(八訂) 食品データベース https://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html
・令和元年 国民健康栄養調査結果概要 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf
・健康食品の安全性・有効情報 https://hfnet.nibiohn.go.jp/vitamin/detail149/
・厚生労働省eJIM https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/08.html
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