「アイスは好きだけど糖類が気になる……」という方は多いでしょう。そのような方におすすめしたいのが、ロッテZEROアイス(以下、ZEROアイス)です。
ZEROアイスは「砂糖ゼロ・糖類ゼロ」にもかかわらず、一般的なアイスと比べても遜色ない美味しさを実現しており、女性を中心に人気を集めています。そして、その美味しさの実現に貢献しているのが「イヌリア」です。
今回は、株式会社ロッテ中央研究所、アイス研究部の長谷川直也さんに、ZEROアイスの開発についてのお話を伺いました。
ロッテZEROアイスとは?
――まず、ZEROアイスがどのような商品なのかご紹介いただけますか?
長谷川さん:ZEROはアイス以外にも、チョコレートやビスケット、キャンディなど、多くのカテゴリーで展開している商品です。商品のコンセプトは「砂糖ゼロ・糖類ゼロ」を謳っております。
※食品表示基準に基づき、糖類0.5g未満(100g当り)を糖類0(ゼロ)としています。砂糖は食品表示基準における糖類に該当します。※糖類は糖質の一部です。本品は糖質を含みます。
一部リニューアルを行い「ZEROビスケットクランチチョコバー」「ZEROアイスケーキ」「ZEROビスケットクランチチョコバー 香る焙煎抹茶」という、3つの商品を販売することになりました。
ZEROビスケットクランチチョコバーは、砂糖ゼロ・糖類ゼロでも、コクのあるバニラアイスとビスケットクランチのザクザク食感が楽しめるチョコバーです。
ZEROアイスケーキは、コク深いバニラアイスの美味しさと、ふんわり食感のケーキが楽しめる砂糖ゼロ・糖類ゼロのサンドアイスです。このリニューアルで、ケーキの形を少し変えました。
今までは、どちらかというと高い形状のアイスケーキになっていましたが、ケーキの径を大きくすることで、より食べやすい形に仕上げています。また、風味の部分もバター感を強めることで、よりアイスとの親和性を高くする品質改良を行いました。
そして、抹茶は「香る焙煎抹茶」と謳っており、普通の抹茶よりも焙煎感のある仕上がりになっています。
「砂糖ゼロ・糖類ゼロのアイスがあったら面白い!」がきっかけ
――ZEROアイスは、どのような経緯で開発に至ったのでしょうか?
長谷川さん: ZEROはチョコレートを中心に長年展開しており、お客さまからも高い評価をいただいている商品でした。
そのため、社内で「アイスなど、他のカテゴリーにも改めて展開してみたら面白いのではないか」という考えに至ったのが、ZEROアイスを開発したきっかけです。
「ボディ感を出せる」「雑味をなくせる」がイヌリア採用の決め手
――ZEROアイスにイヌリアを使おうと思ったのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか?
長谷川さん:最初は「甘さを残しつつ糖類を減らすために食物繊維を入れてみよう」という、安易なところから検討がはじまりました。
そんな中、商品開発に使えそうな食物繊維を探していたときに、帝人さんにイヌリアを紹介してもらいました。
実際に使ってみたところ、アイスの食べ応えに不可欠なボディ感を持った食感を実現できたことに驚きました。また、アイス全体の雑味も少なく、抹茶など新たなフレーバーにも挑戦できそうだったため、イヌリアを採用することにしました。
Q:帝人のイヌリアの特徴とは?
帝人:イヌリアはチコリの根からシンプルな方法で抽出・精製された、植物由来のイヌリン(水溶性食物繊維)です。
チコリ由来のイヌリンは、ラインアップにもより若干特徴が異なりますが、違和感のない優しい甘さやボディ感を付与できるため、乳製品や菓子、パン、肉加工品など、世界的に幅広い用途で使用されています。
日本国内でもサプリメント的な100%品(粉末)での採用にはじまり、乳製品、菓子類、惣菜やパンなど、幅広くご採用が広がっています。
イヌリアは、特徴の異なる4種類の粉末、1種類のシロップというラインナップを取り揃えているため、さまざまな加工物の特長を活かし、用途に応じた使い分けが可能です。
また、イヌリンは腸内細菌のエサになることが知られており、他の食物繊維素材と比べて
ビフィズス菌の増殖能が高い面でも注目を集める植物由来の食物繊維です。
最大の課題は人気アイスと同レベルの味を実現すること
――今回の商品開発で苦労した点や、裏話的なエピソードがあれば教えてください。
長谷川さん:ZEROアイスは、商品として「砂糖ゼロ・糖類ゼロ」を謳っているため、通常のものに比べてアイスとしての味が出にくくなる傾向はありました。
そのため、アイスとしての味を補填し食べごたえや美味しさを出すことがもっとも苦労した点であり、面白かった点でもありましたね。
また、ZEROアイスのような商品は「あまり美味しくないのでは……」という消費者のイメージがつきまとうため、業界では売れないのではないかと思われていました。
したがって、人気アイスと同じレベルの美味しさを実現し、アイス好きの人たちに買ってもらえる広い市場へ参入することを課題としました。
試行錯誤の末、お客さまにご満足いただけるレベルの商品に達したと判断しZEROアイスの発売に至ることができました。
アイス好きのお客さまに支持され売上25%アップを達成
――最後に、読者に一言コメントをいただけますか。
長谷川さん:帝人様にお力添えをいただいて、自信をもって美味しいと言える商品を販売することができました。
その結果、2022年度のZEROアイスの売上はコロナ禍前の2020年度に比べて約25%アップしました。
女性のお客さまを中心にリピート率が上がってきており、店頭に並ぶ配荷率も2倍程度にまで上がっているので、みなさまにさらにZEROアイスをお召し上がりいただきやすくなりました。
ZEROというブランドは、やはり健康系のイメージが強いと思います。しかしZEROアイスは、市場に出ている他のアイスと比べても遜色ない美味しさを実現しているので、ぜひ一度手に取っていただけると嬉しいです。