第二の脳とか、第二の心臓なんて表現されることも多い「腸」については、テレビや雑誌などでも特集されるほど、健康にかかわることが注目されるようになっています。
そんな腸の働きについて、体のしくみなども含めて、できるだけ優しく説明していきます。
人類の歴史は腸から始まった?!
人類誕生のはるか昔、地球上に最初に生まれた生物は1つの細胞からなる単細胞生物でした。その後、多細胞生物へ進化し、さらに複雑になって様々な動物へと進化していくのですが、ではここでいきなりですが質問!
動物が持っている心臓、脳、腸のうち、
進化の過程でどれが最初に生まれたと思いますか?
脳とか心臓ではないんです
初期の多細胞生物は、口(入口)、腸(消化管)、肛門(出口)という単純な構造でした。その後さまざまな器官ができるに伴って、消化管も複雑な構造になるのですが、腸は最初の器官ですから、動物にとって最も重要な器官の一つと言えることがお分かりいただけるかと思います。
腸の消化・吸収・排泄
腸の働きとしては、まずは消化、吸収、排泄から、説明します。
消化の大部分は胃じゃなく腸
私たちが毎日食べる食べ物は、口から入り食道を通って胃に入り、胃で消化が始まります。消化は、胃で行われていると思いがちですが、実は一部だけ。腸は図のとおり、いくつかに分かれていてそれぞれの役割を担っています。
胃で消化されなかった残りは、消化しやすい形に砕かれ小腸へ。
小腸は胃に近い方から、十二指腸、空腸、回腸に分けられますが、十二指腸に食べ物が入ると、膵臓の機能が働いて、炭水化物、タンパク質、脂質が分解されます。また、胆のうから胆汁が分泌されて、脂質の消化を助けます。
小腸での吸収
消化されてできた栄養素のほとんどは小腸で吸収されます。
小腸は効果的に栄養素を吸収するために、ヒダ状になっていたり細かい突起状になっていたりします。広げるとテニスコートくらいと言われるほどの面積になる。その広い広い小腸で栄養素を吸収し尽くします。
が。それでもまだ残るものがあり、それらは大腸に送られます。
大腸での排泄
大腸は小腸に近い方から、盲腸、結腸、直腸に分けられます。小腸で吸収されなかった成分は、ゆっくりと盲腸から結腸、直腸へと移動。そこで水分やミネラルが吸収され、次第に固まっていきます。
この残りカスの中には、もともと食べ物に含まれていた有害物質や、大腸内にいる悪玉菌が作り出した有害物質などが含まれることがあります。
便秘になって排泄が滞ると、これらの有害物質が身体に吸収され、病気につながってしまう恐れがあるので、速やかに排泄することは健康的な生活を維持するためにとても重要です。
免疫には腸のケアも重要
私たちの健康を守るための重要な免疫機能。実は腸は免疫にも深いかかわりがあります。
細菌やウィルスなどは、食事や毎日の生活において口から入ってきますが、このときに働くのが免疫細胞。その免疫細胞が最も多く存在しているのは腸、実に全身の6割以上が腸にいるとされます。
先に書いたように、腸はさまざまな物質を吸収できるように働くので、病原体も吸収してしまう可能性は大きいことから、免疫細胞をたくさん構えてバリアをはっているということです。
もし、腸の免疫が十分に働かないと、病原体に対抗できず、常に病気や不調に悩まされることになってしまうということです。
自分の腸にあった健康管理を
腸を良好な状態に維持することはとっても大切だということが、お分かりいただけたかと思います。
そのために、最も大切なのは食事です。
腸は食べたものが直接入ってくる器官なので、食事の内容が腸の働きを大きく左右します。よく言われているように、発酵食品や食物繊維を積極的にとることは大事です。
特に食物繊維は、1日の摂取目標量「成人(18歳以上)の男性で21g、女性で18g(*1)」とされていますが、現在の成人における摂取平均量は14g以下なので、いずれも不足してしまっています。毎日の食生活において、食物繊維の摂取を心がけてみてください。
また、腸を刺激することも、腸の健康のために重要です。適度な運動やマッサージなどは血流を促し、自律神経にも良い影響を与えてくれます。
これからは、腸のために良いことをしようと意識することで、健康な生活を手に入れましょう。