腸活の最新知見を紹介!研究でわかった腸内フローラのすごさ。 | ビオリエ | 帝人株式会社
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個人情報にもなる腸内フローラの最新知見を紹介

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近年の腸活ブームで注目の腸内環境、わたしたちの健康や病気にも深く関わっていることがわかってきた腸内フローラの最新知見をご紹介します。

個人データになる腸内フローラ

私たちの大腸には有名なビフィズス菌をはじめ、1,000種40兆個以上ともいわれる多種多様な細菌たちが生息して、腸内フローラと呼ばれる腸内細菌の集団が形成されています。

わたしたち一人ひとりの見た目や個性が異なるように、腸内環境つまり腸内フローラも千差万別。腸内フローラを構成する細菌の数やバランスは人によって異なり、指紋と同じように同じ細菌叢の人はいないといわれています。
このことから研究者の間では、腸内環境を調査することで遺伝子調査のように個人の健康状態や病気の発症リスクを探ることができるのではないかと考えられています。
もしかしたら近い将来、腸内フローラのデータは遺伝子情報のような慎重に扱う必要のある個人データになるかもしれません。

大切なのはその人にあった
腸内フローラのバランスと多様性

産道から引き継ぐ腸内細菌

個人データにもなりうる腸内フローラのデータが、どのように親から子へと引き継がれるかご存知でしょうか?
赤ちゃんは母体に居る間はまだ腸内に細菌がいません。母親が持つ細菌が子へと伝搬するのは、産道を通る分娩のとき。またその後のスキンシップや入浴でも「菌の受け継ぎ」がおこなわれます。

腸内フローラの多様化は体内の免疫システムを高める上でも大切。
ヒトの腸内環境が形成されるのは3歳までといわれます。昨今では普段からの除菌対策があたりまえとなりましたが、過度な清潔感は身近に生息している様々な菌種を減少させて菌の受け継ぎが上手くいかない結果、菌の多様性を低めアレルギー疾患や多動性障害児の増加につながるという報告もあります。
ウィルスなどには十分な注意が必要ですが、3歳までのお子さんをお持ちのお母さんであれば、スキンシップをたくさん取ることをぜひ心がけてください。

3歳までの腸内細菌

あわせて読むこちら(母から子へ継がれる腸内細菌、脳と腸の関連も解説)も参考にしてみてください。

病気と腸内フローラの関連

近年の研究においては、腸内フローラがさまざまな病気に関係している可能性が見えてきました。
うつ病や自閉症、パーキンソン病や認知症、動脈硬化や糖尿病などに腸内フローラが関与していることがわかってきており、病気に関連する腸内細菌の代謝物質の生産を抑制すれば、病気の予防や治療につながると新薬の研究も始まっています。

また、健康な人の腸内フローラを病気の人の腸内に移す「便微生物叢移植療法(便移植)」という治療法が話題となっています。初めて聞くとびっくりしてしまいますが、腸内フローラのバランスの乱れが関わっていると考えられる腸の病気や代謝・免疫の疾患にも適用できる可能性がある治療法として注目されているんです。
すでに日本でも、難病指定されている潰瘍性大腸炎などの疾患治療法として便移植が進められています。

また、生活習慣病の原因としてあげられることが多い肥満にも、腸内細菌は関係しています。腸内細菌にはグラム陰性菌と呼ばれるリポ多糖という成分を持つ種類のものがあるのですが、このリポ多糖が血液の中に増えると、脂肪細胞に作用して肥満につながる可能性が。
一方で腸内フローラが作り出す短鎖脂肪酸は、体重減少肥満防止に関わることも報告されています。

あわせて読む短鎖脂肪酸ってなに?と気になった方は、こちら(美容と健康の大敵 大腸劣化の救世主、短鎖脂肪酸)も参考にしてみてください。

糖質制限による大腸劣化の影響

人気の糖質制限ダイエットですが、実は腸内環境を悪化させるリスクが指摘されています。
糖質制限ダイエットでは炭水化物を抑えることが求められますが、炭水化物には食物繊維が含まれていることを理解している人は少ないのではないのでしょうか。

炭水化物に含まれる食物繊維は、大腸内の腸内細菌の栄養源なのですが、炭水化物を制限するとこの腸内細菌のエサが不足してしまうため、腸内細菌の増殖や働きがさまたげられ便秘などの不調を招く可能性があるのです。
長寿研究などで注目されているプレボテラは、炭水化物を多くとる人に多く見られる腸内細菌のひとつですが、過剰な糖質制限をするとこの菌が減少してしまい、腸内フローラのバランスを崩してしまう可能性が示唆されています。

腸内環境を悪化させると、免疫力が低下して風邪などの病気にかかりやすくなります。さらに病気の治療薬として処方されることが多い抗生物質は、病原菌を死滅させるとともに腸内細菌も殺してしまうので、腸内環境の悪化がさらに進んでしまいます。その結果、腸内フローラのバランスがくずれ、二次的な病気につながっていく可能性が高まってしまいます。このことからも安易なダイエットや不必要な抗生物質の使用は、腸内環境によくないと覚えておきましょう。

あわせて読む糖質の控えすぎはNG?!こちら(糖質を知っておいしく炭水化物を摂ろう)もチェックしてみてください。

腸活食品はまず2週間

自分や家族の健康のために腸内フローラのバランスを整え腸を健康に保つ『腸活』に取り組もう、と考える人は多いでしょう。腸活として始めやすいのが、腸に働く食品を摂ること。腸活によい食品やサプリメントとしては、ビフィズス菌やイヌリンなどの水溶性食物繊維を活用したサプリメントタイプのものが注目されています。選ぶポイントはひとつだけ。

自分の腸内環境にあうかどうか

個人情報にもなりうる腸内環境のバランスは一人ひとり異なります。残念ながらどんな人にもベストなものはありません。自分にあっているかどうかは食べて試してみるしかないのです。まずは気になっている製品を2週間食べ続けてみてください。

2週間後に便通や体調がよくなっていれば、相性がいい製品といえるので継続を。体調が変わらない場合は別の製品を同じように試して、自分の体調に合うものを選ぶとよいでしょう。
少々根気がいる場合もありますが、きっとあなたの腸にあうものが見つかります。


この記事はこの方に監修いただきました。

松井 輝明(まつい てるあき)
帝京平成大学 健康メディカル学部 健康栄養学科教授


日本大学医学部卒業。医学博士。1999年日本大学板橋病院消化器外来医長就任。2000年日本大学医学部講師、2012年准教授。2013年帝京平成大学健康メディカル学部健康学科教授就任、現在に至る。
2001年厚生労働省薬事食品衛生審議会専門委員、2003年内閣府食品安全委員会専門委員、1998年日本消化器病学会評議員、日本実験潰瘍学会評議員、2000年日本高齢消化器病学会理事、2015年日本消化吸収学会理事。消化器一般、機能性食品の臨床応用を専門に研究。
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