糖質制限ダイエットの効果が謳われはじめてしばらく経ち、糖質をとらないだけというその取り組みやすさから、多くの方が糖質オフを生活に取り入れているようです。いろいろなメーカーから糖質ゼロをうたった商品もたくさん並び、商品選びの目安なっていることもあるでしょう。
糖質が少ないとされる雑穀の栄養に注目し、主な主食の糖質量を比べてみましょう。
糖質は体にとって重要な栄養素
まず、糖質そのものを簡単におさらいしてみると炭水化物から食物繊維を除いたものと定められており、糖類の他、デンプン、糖アルコール、オリゴ糖などが糖質の代表的なものとなります。
炭水化物は、たんぱく質・脂質と並んで「エネルギー産生栄養素」の1つで、身体になくてはならない栄養素です。そのたんぱく質の中に含まれる糖質は、脳の唯一のエネルギー源と表現されることもあるほど、私たち人間の体にとって重要な要素。極端に制限してしまうことは、疲れやすさや集中力の低下などにつながる場合もあるとして、ほどよく摂取することが推奨されています。
なぜ、「糖質を摂ると太る」と思われているのか
糖質は、体への吸収が早いことから、摂りすぎてしまうとエネルギー源として代謝しきれなかった過剰分が体内に蓄えられてしまい、中性脂肪になってしまうと考えらえています。
また、糖質を制限するダイエット方法が効果的であると話題になったりしたことで、糖質を摂ることを悪とする傾向が続いています。が、健康によくない影響もあるという論文も多く報告されているのもまた事実です。
摂りすぎも、摂らないことも、どっちも健康面においてはお勧めできない。なにごともバランスよく保つことが、健康に過ごす秘訣ということですね。
糖質を気にせずごはんを食べるには
では、糖質を上手に摂るにはどうしたらよいでしょうか。
糖質オフ生活をしているわけではないけれど、食事をとるときに糖質多そうだなと少し気になってしまう、軽い罪悪感さえ感じてしまって食事を純粋に楽しめない、なんてケースもあるかもしれません。
せっかくのお食事を楽しむために、炭水化物のことをより深く知って気にせずおいしくいただきたいですね。
ごはんなどの主食の糖質はどれくらい?
私たちがほぼ毎日のように口にしている白米、食パン、麺類などの主食の中で糖質の量が多いのは、食パンについで白米。白いご飯の糖質はパスタよりも多いんです。
白米は精米の過程で“茶色い殻の部分”をそぎ落としてしまい糖質だけが残ってしまうんですね。
※100gあたりの数値。麺部分だけの量のためスープや具材によって値は変わります。
思ったより多い玄米の糖質
白米より健康なイメージのある玄米ですが100g中の糖質量は71.3g。パンやパスタの原料でもある小麦粉が69gなので思ったよりは多いなって印象です。
大麦の糖質量はどのくらい?
食物繊維が多いと注目されている大麦や全粒粉の粉は、食物繊維の量が多いぶん、糖質の量が少ないということが図からもよくわかると思います。
糖質オフには茶色い炭水化物を摂ろう
健康志向の高い方は炭水化物を選ぶとき、ご飯もパンも真っ白な白米や小麦粉ではなく、”茶色いもの”を選ぶようにしてみることを一つの目安としているとも言われます。
真っ白な食パンよりはブランパンや雑穀パン、真っ白な白米ごはんには茶色い大麦を入れて。など茶色い炭水化物と心掛けてみると、毎日の食事の中で無理なく糖質の摂取量を抑えることができます。
白と茶色の炭水化物の糖質量の違い
白米と茶色い炭水化物を代表してスーパー大麦入りのごはんを、炊飯した状態(175g:茶碗大盛り1膳)でどれくらい糖質量が違うか比べてみました。※スーパー大麦入りのごはんは、お米1合にスーパー大麦を大さじ1杯をプラス)
分析方法が異なるので単純に比較はできないのですが、雑穀入りの茶色い炭水化物の方が糖質の量が抑えられ、全体のカロリーも低くなる傾向があります。
糖質と食物繊維の割合で比べてみると、スーパー大麦ごはんの方が、糖質の割合が小さくなることがわかります。
スーパー大麦ごはんは、炊飯する際に大さじ1杯に対して20ccの水分をプラスするため、見た目は同じ1膳のごはんでも水分量が白ごはんより多くなるので、炭水化物としての全体量も抑えられるという考え方もできるとも言えます。
食後血糖値にも気をつけたい
炭水化物が多い食べ物は、血糖値が上がりやすいと言われます。
同じ量の炭水化物を含む食品でも、食物繊維の量により血糖値が急激に上昇するものとおだやかに上昇するものがあるということがわかってきたという研究もあります。
急激な食後血糖値の上昇は、健康のためにも抑えた方がよいとされており、ゆっくりかむことなどが推奨されている。
大麦を混ぜたごはんは、もちもちやプチプチの食感がプラスされるので、咀嚼回数を増やすサポートにもなります。
なお、食後血糖値の上昇を緩やかにする低GI食品については、こちらの記事(血糖値が上がりづらい低GI食品、スーパー大麦のGI値は?)でご紹介しています。気になった方はぜひこちらの記事も参照してみてください。
まとめ
糖質はダイエットの天敵のように扱われることもありますが、体にとっては重要なエネルギー源。過度な制限はできればしたくないものです。
白米を食べる時には、大麦を入れて炊飯したり、パンやパスタを選ぶときは「茶色い炭水化物」を意識してみたりして、適切にバランスの良い食生活を心掛けたいですね。
大麦のイメージは以前と変わってきて、味も食感もプラスのことが多いものがたくさん販売されています。ぜひ、この記事で大麦に興味を持ってもらい、お好みの大麦に出会えるといいなと思います。
・スーパー大麦:日本食品分析センターにおける分析値平均値
・スーパー大麦以外:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」引用。
・糖質の値は、八訂掲載の炭水化物・食物繊維総量(プロスキー変法)の値より算定。