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コラム

食物繊維をたっぷりとれる身近な野菜は?おすすめレシピも

  • 食物繊維・ミネラルを補う!

食物繊維をとろうと思ってまず思いつくのが、野菜ではないでしょうか。

しかし、野菜も種類によって含まれる食物繊維の量が大きく異なります。

身近な野菜で効率よく食物繊維をとるには、どんな野菜に食物繊維が多く含まれているのか、食物繊維の種類のバランスがとれているかを知ることが大切です。

食物繊維をたっぷりとれる身近な野菜は?おすすめレシピも

この記事では、食物繊維がたっぷりとれるのはどんな野菜か、どのくらいとるとよいのかについてお伝えします。

食物繊維を手軽にとれるレシピもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

食物繊維とは

食物繊維とは

食物繊維は、人の消化酵素で消化できない難消化性の食品と定義されています。

エネルギーとしてほとんど利用されないことから昔は重要視されていませんでした。

しかし、近年の研究から生活習慣病の予防などさまざまな効果が発見され、食物繊維は人間が生きていく上で必要な5大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル)に次ぐ第6の栄養素と言われるようになりました。

食物繊維は野菜にも多く含まれていますが、穀類、果物、きのこ、海藻などさまざまな食品に含まれています。

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維

食物繊維は大きく、水に溶けやすい水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維に分類されます。

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は働きが異なるため、どちらもバランスよく摂取することが大切です。

水溶性食物繊維にはβ-グルカン、イヌリン、ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、アガロース、アガロペクチン、カラギーナン、ポリデキストロースなどがあります。

<含まれている食品>

大麦などの穀物、果物や海藻類、野菜の中でもネバネバしたものに多く含まれています。

  • 穀類(特に麦類に多く含まれる)
  • 果物(キウイやりんご、かんきつ類、プルーンなど)
  • 野菜類(モロヘイヤやオクラなど)
  • 海藻類(昆布、わかめ、もずくなど)

<働き>

  • 糖の吸収を緩やかにし、血糖値の急激な上昇を抑える
  • 胆汁酸の再吸収を抑えて、コレステロールのバランスを整える
  • ナトリウムの排出を助け、高血圧を予防する
  • 腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える

不溶性の食物繊維は、セルロース、ヘミセルロース、キチン、キトサンなどがあります。

<含まれている食品>

玄米や全粒粉などの穀類、きのこ類、豆類、根菜や繊維のかたい野菜に多く含まれています。

  • 穀類(玄米や全粒粉など未精製のもの)
  • きのこ類(しいたけ、えのき、しめじなど)
  • 豆類(大豆、小豆、ひよこ豆、レンズ豆など)
  • 野菜類(ごぼう、たけのこなど)

<働き>

  • 水を含むと膨らむ性質があるため腸内で膨張し、腸壁を刺激することで腸の蠕動運動を促す

1日にとりたい量

食物繊維の摂取不足はさまざまな病気と関連があるということから、目標とする摂取量が決められています。

厚生労働省より5年ごとに出される、栄養素の基準「日本人の食事摂取基準2020」を参考にご紹介します。

食物繊維の1日の摂取目標量は年齢、性別によって異なり、以下の通りです。

【食物繊維の食事摂取基準(g/日)】

性別 男性 女性
年齢等 目標量 目標量
18~29歳 21以上 18以上
30~49歳 21以上 18以上
50~64歳 21以上 18以上
65~74歳 20以上 17以上
75歳以上 20以上 17以上
妊婦・授乳婦

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020

年代によって大きく変わることなく、また妊娠・授乳婦でも特別に付加する必要はありません。

海外の基準を参考にすると、もう少しとりたいところですが、現代の日本人は食物繊維を十分にとれている人が少ないため、達成可能な量として上記の目標量が設定されています。

そのため、目標量以上の食物繊維をとっても問題ありません。

また、上限過剰摂取量(これ以上はとらない方がよい量)は設定されておらず、サプリメント等でとる場合を除いては過剰になることは少ないと考えられます。

野菜は足りていますか?

野菜は足りていますか?

野菜は健康的なイメージがありますが、どのくらいとっていれば十分なのでしょうか。

厚生労働省が実施している国民栄養調査(平成22年調査・30歳以上)では、健康のために「野菜をたくさん食べるようにしている」と答えた人は男性で約45%、女性で60%にものぼっています。

しかしながら実際の野菜の平均摂取量は、国の目標量よりもだいぶ下になります。

意識はしているけれども、実際にはなかなかとれていないのが現状ではないでしょうか。

出典:厚生労働省「e-ヘルスネット(野菜、食べていますか?)

1日350gはとりたい

厚生労働省では、健康な生活を維持するため、1日に野菜350g以上をとることを推奨しています。

野菜350gを3食でとろうとすると、1食当たり120g弱の野菜をとりたいところです。

120gの野菜の目安は、生野菜なら両手に1杯乗る程度、加熱したものはかさが減るので、片手に1杯乗る程度と言われています。

野菜の種類によっても差が出ますが、まずはこのくらいの量をとることを目標にしましょう。

実際の摂取量

厚生労働省による「国民健康・栄養調査(平成30年)」の野菜類平均摂取量を見ると、成人男性で約290g、女性で約270gとなっています。

国民健康・栄養調査(平成30年)

引用:厚生労働省「e-ヘルスネット(図1. 成人の野菜類摂取量の現状([2]より一部改変))

特に20~30歳代は摂取量が少なく、男性で約260g、女性で約240gと、目標よりも100g前後少ないことがわかります。

若い世代に野菜不足が目立つ

外食や中食が多くなりやすい若い世代で野菜不足が目立ちます。

理由としては

  • 外食やお弁当が多い
  • 食物繊維が豊富に含まれる昔ながらの和食をとる人が少ない
  • 朝食での野菜摂取量が少ない
  • 欠食がある

などが挙げられます。当てはまるものがある場合は、意識して野菜をとることを心がけましょう。

野菜以外からの摂取もおすすめ

食物繊維の健康効果はわかっているけれど、忙しくてなかなか野菜の量を増やせない、という方は野菜以外でも食物繊維を多く含む食品があるので、試してみるのもおすすめです。

いつもの食事に簡単に取り入れられる「スーパー大麦」と「イヌリン」をご紹介します。

スーパー大麦

一般的な大麦の2倍以上の食物繊維を含むスーパーフードで、お米と一緒に炊くことができるため調理も簡単です。

プチプチとした食感と自然な甘さで、いつもの食事がいっそう美味しくなります。

イヌリン

自然界では、チコリの根やごぼう、玉ねぎなどに含まれている水溶性食物繊維です。

イヌリンを抽出し粉末にした商品もあり、水にも溶かしやすいため、お好みの食事や飲み物に加えて手軽に食物繊維をとることができます。

※関連記事
スーパー大麦はどこから来たどんなもの?
https://biolier.jp/column/column0011/

発酵性食物繊維イヌリンの原料チコリを解説
https://biolier.jp/column/column0003/

野菜をとるとうれしい3つのこと

野菜をとるとうれしい3つのこと

野菜をとると、食物繊維をとるだけでなくさまざまなメリットがあります。

➀ビタミン・ミネラルもとれる

野菜をとるメリットは、食物繊維だけでなくビタミンやミネラルなどの栄養素も一緒にとれることです。

ビタミンは体を作る成分や、エネルギー源となる成分ではありませんが、他の栄養素がうまく働くために必要で、機械の潤滑油に例えられます。

体の中で作ることができないものが多く、食べ物からとることが必要です。

ミネラルはビタミンと同様に体の機能の維持に必要な栄養素ですが、ビタミンとは異なり体の構成成分にもなっています。

野菜によって含まれているビタミン・ミネラルは異なりますが、食物繊維だけではないこれらの栄養素もしっかりとれるのはうれしいですね。

➁調理法がさまざまで飽きない

野菜は、煮る、茹でる、炒めるなど調理法を変えるだけで、同じ野菜でもまったく違う料理になります。調理法や味付けはさまざまで飽きることがありません。

例えば千切りキャベツを毎日食べようと思っても、飽きてしまって続かないということはありますが、回鍋肉、ロールキャベツ、コールスローサラダなど、キャベツを使う料理に変化をつければ毎日食べても飽きにくいでしょう。

➂過剰摂取になりにくい

食物繊維は成人(18歳~64歳)で1日に男性約21g以上、女性約18g以上を摂取することが推奨されています。

この摂取目標量を野菜だけで大きく上回るのは難しく、通常の食事で食物繊維の過剰摂取になることは少ないと言われています。

食物繊維の多い身近な野菜

食物繊維の多い身近な野菜

食物繊維が多く含まれている野菜は、どのようなものがあるのでしょうか?

ここでは、緑黄色野菜と淡色野菜に分けてご紹介します。

緑黄色野菜と淡色野菜は含まれている栄養素が異なるため、どちらかに偏ることなくどちらもとるのがおすすめです。

厚生労働省では「健康日本21(第一次)」の中で示している1日にとりたい野菜目標量350gのうち、120gは緑黄色野菜でとることを推奨しています。

緑黄色野菜編

「緑黄色野菜」とは、β-カロテンを豊富に含む野菜の総称です。

原則として、可食部100g当たりのβ-カロテン含量が600μg以上の野菜が緑黄色野菜と定義されますが、600μgに満たなくてもトマトやピーマンのように使用頻度の高い野菜は緑黄色野菜に分類されます。

【100g当たりの食物繊維量】

食物繊維総量(g) 水溶性食物繊維量(g) 不溶性食物繊維量(g)
モロヘイヤ 5.9 1.3 4.6
ブロッコリー 5.1 0.9 4.3
オクラ 5.0 1.4 3.6
かぼちゃ(西洋) 3.5 0.9 2.6
春菊 3.2 0.8 2.4
ほうれん草 2.8 0.7 2.1
にんじん 2.8 0.7 2.1
小松菜 1.9 0.4 1.5

淡色野菜編

緑黄色野菜以外の野菜は、淡色野菜と呼ばれます。

切り口が薄い色であることが多いため、緑黄色野菜に対してこのように言います。

【100g当たりの食物繊維量】

食物繊維総量(g) 水溶性食物繊維量(g) 不溶性食物繊維量(g)
ごぼう 5.7 2.3 3.4
カリフラワー 2.9 0.4 2.5
れんこん 2.0 0.2 1.8
キャベツ 1.8 0.4 1.4
玉ねぎ 1.5 0.4 1.0
セロリ 1.5 0.3 1.2
大根 1.4 0.5 0.9
レタス 1.1 0.1 1.0

水溶性食物繊維をプラスしよう

野菜は、不溶性食物繊維を多く含むものが多いことがわかります。

食物繊維は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をどちらもとることが大切です。

野菜ではとりにくい水溶性食物繊維は、穀類や海藻、果物などをとって補いましょう。

食物繊維豊富なおすすめ野菜レシピ

食物繊維豊富なおすすめ野菜レシピ

1品でも食物繊維がたっぷりとれるレシピを3つご紹介します。

スーパー大麦やイヌリンを入れてさらに食物繊維量がアップしたうれしいレシピです。

スーパー大麦と野菜のビタミンサラダ

スーパー大麦と野菜のビタミンサラダ

たっぷり野菜にスーパー大麦をトッピングした、見た目もきれいなサラダです。

スーパー大麦はご飯と一緒に炊いて食べることが多いですが、茹でておいてトッピングとして使うのもおすすめです。

冷凍保存もできるので、たくさん茹でておいて色々なものに加えると、食物繊維を無理なく補えます。

不溶性食物繊維の豊富な野菜と、水溶性食物繊維の豊富なスーパー大麦は食物繊維のバランスもよいですよ。

https://biolier.jp/recipe/staple/mugi079/

スーパー大麦のミネストローネ

スーパー大麦のミネストローネ

ミネストローネとはイタリアの代表的な家庭料理で、主にトマトを使ったスープです。

イタリア語で「ごちゃまぜ」「具だくさん」という意味を持つため、家庭で余った野菜を入れることができ、基本を覚えれば応用がきく万能スープです。

スーパー大麦のプチプチとした食感は、スープにとても良く合います。

https://biolier.jp/recipe/dish/chikara-dish/recipe-mugi034/

ごぼうのソイポタージュ イヌリンで食物繊維たっぷり

ごぼうのソイポタージュ イヌリンで食物繊維たっぷり

野菜は不溶性食物繊維が豊富なものが多いですが、ごぼうは不溶性食物繊維だけでなく、水溶性食物繊維も豊富です。

イヌリンも加えて、1食1人分で食物繊維が9.2gもとれる優れもの。

食物繊維がとりにくい朝食や、遅い時間の食事にもぴったりです。

豆乳が入っているため、たんぱく質も補えます。

https://biolier.jp/recipe/salada/inulin-salad/inu018/

まとめ

野菜は種類によって食物繊維の量が大きく異なり、食物繊維の豊富な野菜を献立に取り入れるのが食物繊維を上手にとるポイントです。

食物繊維の他、ビタミン・ミネラルもとれる野菜は、1日350g以上の摂取が推奨されています。

日本人の実際の野菜の平均摂取量は300g以下であり、1日であと1~2品野菜料理を増やしたいところです。

食物繊維の豊富な野菜は、緑黄色野菜ではモロヘイヤやブロッコリー、オクラなど、淡色野菜ではごぼう、カリフラワー、れんこんなどが挙げられます。

食物繊維は水に溶けやすい水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維に分けられ、どちらもバランスよく摂取することが大切です。

野菜だけでは水溶性食物繊維が不足しやすい傾向があるため、穀類、果物、海藻などさまざまな食品をとりましょう。

福井医師 福井 美典 /医師(糖尿病専門医・抗加齢医学専門医・救急科専門医・総合内科専門医・栄養療法医・美容皮膚科医)


糖尿病内科・栄養療法・美容皮膚科に従事。
分子栄養学に基づき、不足栄養素を補うことで、 からだの細胞を活性化させる栄養療法を取り入れている。
糖尿病診療においては、からだにやさしい血糖値コントロールを基本に、低糖質・高たんぱく質の食事の大切さを、臨床で自ら栄養指導をしている。
美容皮膚科診療においては、美容施術のみならず、栄養療法を基本としたインナーケアにも尽力している。
公式instagram:https://www.instagram.com/fukuinaika.biyou.eiyou/
公式HP:https://www.seijinkai-clinic.com/

参考文献
・食物繊維 | e-ヘルスネット 厚生労働省(令和5年6月1日閲覧)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
・食物繊維の必要性と健康 – e-ヘルスネット – 厚生労働省 (令和5年6月1日閲覧)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
・野菜、食べていますか? | e-ヘルスネット(厚生労働省) (令和5年6月1日閲覧)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-015.html
・文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)食品成分データベース https://fooddb.mext.go.jp/
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