大麦を1カ月食べた結果、免疫機能(sIgA)が増えた | ビオリエ | 帝人株式会社
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期待が上がる大麦の免疫効果。大麦を1カ月食べたらsIgAが増えた

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  • 食物繊維・ミネラルを補う!

もち麦の登場以降、その健康効果に注目が集まるようになった大麦、幅広い年代で日常の主食の1つとして定着しつつあります。食物繊維が豊富なことで、腸内環境を改善することが大麦の魅力の1つですが、関心が高まる「免疫」にも効果があるということが解明されてきました。注目のキーワード「sIgA」の説明とともにお伝えします。

免疫力を高めたいなら腸内環境のケアを

コロナ禍により免疫への関心はより一層高まっています。いかにしたら免疫力をあげることができるのか。何に気をつければいいのか。その答えの一つは、

免疫力を高めたいなら
腸内環境のケアを

腸は「粘膜免疫の中心」として体をバリア

細菌やウィルスなどの入り口は、主に外気に触れる口や鼻ですが、さらに体の内部への侵入は吸収力の強い腸などを通して入りこみます。免疫細胞の6~7割が腸にあると言われますが、その理由は、腸はいろいろな物質を吸収するので、病原体も吸収してしまう可能性もあり、侵入してきた有害物質から身を守る自己防衛体制を整える必要があるため。いわゆる腸のバリア機能で体をウィルスから守っている「最後の砦」というところでしょうか。
免疫器官としても極めて重要な役割を持つ腸。その健康状態が、体の健康に大きく関与するだけでなく、ウィルスなどの侵入を防ぎ、病気の予防や重症化防止にも影響を与えるということです。

あわせて読む腸の働きは消化だけじゃないの?と気になった方はこちら(「腸」を意識した食生活で免疫を強化しよう)も併せてご覧になってみてください。

期待される大麦の免疫効果

免疫力アップに腸内環境の状態が関わるということは、腸の状態を改善する機能を持つ食物繊維が豊富な大麦には、その効果が期待できるのではないか?ということが考えられます。

大手雑穀メーカーが「大麦摂取で免疫機能が向上する」と発表

2021年の春、大手雑穀メーカーより「大麦摂取で免疫機能が向上する」という興味深い発表 (*1) がありました。検証を行ったところ、4週間、大麦を摂取し続けた一部の被験者において、免疫の調節にかかわる物質「sIgA(分泌型免疫グロブリンA)」の量(便中)が増加したとのこと。
理由としては、sIgA量が増えるメカニズムに深くかかわる短鎖脂肪酸酸が、大麦をエネルギー源とした腸内細菌によって産生されたためと考えらえています。つまり、

大麦を摂る

短鎖脂肪酸が産生される

sIgAが増える

免疫に効果がある

可能性が高まったということ。免疫力を高めることは、いま世間の注目が高い分野であり、大麦でこのような実験結果がでたことは、大変興味深いといえます。

sIgA(分泌型免疫グロブリンA)とは

少し難しい話になりましたが、ここでsIgAってなに?増えると何がいいの?という説明を。

コロナ禍によりメディアで免疫のメカニズムが説明されることが増えたこともあり、もしかすると、「IgA(アイジーエー)」という言葉は見聞きしたことがあるかもしれませんが、IgA(免疫グロブリンA)は「免疫物質(抗体)」の1種で、腸管内で細菌やウイルスの侵入を見つけては日々戦う『自然免疫』に分類されます。
そのIgAに「分泌という意味の「secretory」の『s』」がつくのが『sIgA (分泌型免疫グロブリンA)』。『分泌型IgA』とも表現されます。

IgAをつくる免疫細胞は、全身の粘膜を行き来しつつIgAを体外に分泌するため、腸だけではなく目・口・鼻・肺なども、この「sIgA(分泌型IgA)」によって守られています。

腸内細菌が腸管免疫の発達や働きを維持するために重要な役割を果していることがわかり、免疫学における腸の機能は高い注目を集めるようになっています。

sIgAが低くなるとどうなる?

ウィルスによる感染症だけでなく、歯周病菌やピロリ菌など多くの病原体に対抗することができなくなってしまうので、心疾患や脳血管疾患、胃潰瘍や胃がんなど、さまざまな疾病を起こしやすくなってしまうことが懸念されます。

大麦は食卓の定番に

これまで大麦の健康効果は、β-グルカンなどの水溶性食物繊維が、腸内の善玉菌のエサとなり短鎖脂肪酸の産生を促すことにより、腸内環境が改善されるという点で注目されてきましたが、今後は大麦の免疫効果にも注目していきたいと思います。

ますます身近になっている大麦

大麦の食経験はとても長く、日本では麦ごはん、麦茶、ビール、焼酎、麦みそなど生活に身近な食品として昔から根づいていますが、食物繊維が健康にもたらす効果が見直されたことなどもあり、近年ますます大麦の需要が増えてきています。
またコロナ禍において、自身の健康により気を使うようになり、改めて食生活を見直す中で、大麦を食べるように心がけている方が増えているのかもしれません。

大麦を使ったグラノーラやシリアルバーなどは長年親しまれていますし、最近ではご飯と一緒に炊くタイプの大麦も数多く販売されていますので、大麦が毎日の食卓の定番にしていけるとよいかもしれませんね。

あわせて読む食物繊維が豊富な大麦はどれ?食物繊維を多く含む食品ランキングもチェックしてみてください。

自然免疫力を高めるには

最後に、健やかな生活を送るために、病原菌を体内に入れないことは気を付けるべきことですが、完璧に排除することはほぼ不可能ですね。だからこそ、体内に侵入した細菌やウイルスと戦う“自然免疫”の力を高めることが非常に重要です。

生活習慣のバランス

適度な運動や適度な運動、睡眠、ストレスを溜めないなど、普段の生活習慣に気を付けることで自然免疫力を高めることができると言われています。

食事のバランス

腸内環境を整える発酵食品(ヨーグルト、漬物等)や食物繊維の多い野菜・穀物、細胞の材料となるタンパク質(大豆製品、肉、魚)、抗酸化作用のあるフィトケミカルを含む食品(トマト、緑茶など)やビタミンCの多い野菜(ブロッコリー、ピーマンなど)など、バランス良く食べることが大切です。

免疫低下をチェック

免疫が低下してくると、以下のようなサインが表れると言われますので、このような症状がでてきたら生活習慣や食生活を見直すなどのチェック指標にしてみてくださいね。

  • しっかり休んだ後の回復の程度  休んだのに疲れが取れないなど
  • 睡眠の状態  寝つきや寝起きがよくないなど
  • 口が渇きやすい  安静の状態で口内の乾きを感じる、唾液がねばつくなど

まとめ

食物繊維が豊富だからこそ、腸に働きかける大麦の免疫効果を解説してきました。今だからこそ高めておきたい免疫力をアップするために、無理せず毎日続けられることから始めていきたいですね。

この記事がみなさまの健康サポートに役立てば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。


1:Nutrients 13,3,907,2021, DOI: 10.3390/nu13030907

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