定番の野菜としてヨーロッパの食卓には欠かせない”チコリ”。近年、オードブルなどに使われる白っぽい葉野菜は日本国内でも生産量が徐々に増えてきており認知度の広がりを見せています。また、チコリの根に多く含有している”イヌリン”という成分はここ十数年間で世界中の研究者からも注目の存在に。
このページでは、国内外でも大変話題の食品・成分である「チコリ」と「イヌリン」に含まれる成分や機能、食経験の歴史。そして、チコリを原料とした”チコリコーヒー”の話題を中心として詳しく解説していきます。
チコリってどんな食材?
まだまだチコリは日本人にとって馴染みが浅い食材。チコリは葉野菜と根の部分で含まれる栄養成分が異なります。根にはイヌリンが含まれるとお伝えしましたが、葉野菜の部分は食感を楽しんでいただくのが中心の野菜です。
そして、種類によって少しずつ見た目や色は異なりますが、シャキシャキとした食感・爽やかで独特なほろ苦さが共通した特徴。この苦味には胃腸などの消化器官を活性化させると言われる、タラキサステロールやポリフェノールの一種であるラクチュコピクリンという成分によるものだそうです。
チコリを使った料理・用途
葉野菜チコリはチーズやスモークサーモン等を乗せて、サラダとして生のまま賞味したり、グラタン・スープ・煮込み料理等に加えたりして食卓を鮮やかに彩ります。チコリの根は薬効のあるハーブとして用いられたり、後述するカフェインを含まないチコリコーヒーの原材料にもされたりしています。
用途別に栽培されるチコリの葉と根
チコリは葉と根で食べ方が異なりますが、その栽培方法も異なります。
食用のチコリ葉の栽培
葉の部分は「軟白栽培(軟化栽培)」という野菜の茎や葉を柔らかく育てるために、光を遮った状態で栽培します。やわらかいのは良いのですが、浴びる日光量が減少するため栄養価が下がってしまうのが悲しいところ。
1年かけて栽培されたチコリの葉の部分を刈り取り、根の部分を掘り起こして涼しい暗所で日に当てず栽培すると、おなじみの白い葉が出現。理想的な栽培時期はチコリが成長をストップする1月~2月の厳寒期ですが、現在は栽培法が発展したおかげで、年中通して収穫ができるお手軽な野菜です。
イヌリン抽出用に栽培するチコリ根
甜菜(ビート)から作られる砂糖とチコリ由来のイヌリンには共通点があり、同じような製造方法で作られているそうです。甜菜もチコリもそのまま食卓に上るようなことはないですが、食べてみると甜菜はアクが強く非常に不快な後味が残るそうです。一方のチコリも別名「菊苦菜」といわれる通り、かじったら相当な苦さだそうですよ。
甜菜から抽出・精製して得られる砂糖に不快感を感じることがないのと同様、チコリから抽出・精製して得られるイヌリンにも苦みはなく、ほんのり甘い白い粉末です。イヌリンには興味はあるが、もしかして苦いのかな?と懸念する方にとっては、朗報といえるかもしれませんね。
古代より親しまれてきたチコリとコーヒー
チコリは古代エジプトの文献にその健康効果が記載されているほど、人類の食生活に深く入り込んでいる、非常に食経験が長く安心な食品。
その摂取方法として有名なのが「チコリコーヒー」。毎日の生活に欠かせないと言えるほど食生活に入り込んでいるコーヒー、古くはチコリでできたコーヒーを楽しんでいたのですね。チコリは葉・茎・根の全ての部分を余すことなく食べる事ことができますが、チコリコーヒーは「根」の部分を乾燥させて焙煎して作られます。
チコリコーヒーの効果・効能
ノンカフェインで健康維持に一役かってくれるチコリコーヒーは、乳幼児から妊婦さんにまで幅広く好まれ、ドイツ・フランス・アメリカ等の欧米を中心に根強く愛飲されています。
焙煎度によりますが、このチコリコーヒーにもイヌリンが含まれていることが分かっており、食物繊維を気軽に摂取できる飲み物として日本でも今後、注目されるかもしれませんね。
イヌリンの腸活効果
腸活に欠かせない栄養素として改めて注目されている食物繊維。チコリの根にはイヌリンという水溶性食物繊維を多く含んでおり、それが整腸作用に効果的で腸活をする上でも有用に働いてくれます。その他にも糖尿病予防・ダイエット効果・お通じ習慣の改善といった効果にも期待できると言われています。
イヌリンの効果については、こちらのページで詳しく解説していますので、気になった方はぜひご覧になってみてください。