免疫への注目度が高まり、各メディアからも免疫のメカニズムが解説されたり、免疫力を高めるための健康管理や食事が紹介されたりと、これまで以上に免疫に関する情報を得る機会はずいぶん増えています。
スーパー大麦においても、青江誠一郎先生(大妻女子大学)との共同研究のもと、マウスを使った実験にて、大麦の継続摂取により血清sIgA濃度が高くなるという検証結果が得らていますので、その内容についてご紹介します。
食物繊維と免疫の深い関係
食物繊維が腸内環境の改善に必須な栄養成分であることは、腸活ブームの影響もあり、広く知られるようになりました。そして、免疫と腸内環境が深くかかわることから、食物繊維が豊富なスーパー大麦を使って、免疫力が上がるのかを検証してみました。
スーパー大麦の免疫効果
マウスを3つのグループに分けてエサをあたえ、15週後に主要腸内細菌数や腸内発酵に及ぼす影響を比較検証。
緑:大麦を含まないエサを摂取
青:通常品種の大麦を含んだエサを摂取
赤:スーパー大麦 (*1)を含んだエサを摂取
スーパー大麦摂取で腸内細菌数が増加
便中の主要な腸内細菌の数を調べたところ、下図の通りスーパー大麦(赤)と通常品種の大麦を食べたグループ(青)は、大麦を食べなかったグループ(緑)に対し、腸内細菌数が増えています。
腸内発酵を促進し短鎖脂肪酸が増加
さらに盲腸の内容物を調べると、大麦を摂取したグループは、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸が増加していることがわかりました。これは、腸内細菌が増えたことにより腸内で発酵が促されたと言えます。
短鎖脂肪酸とは、善玉菌が生み出す体に良いスーパー物質のこと。短鎖脂肪酸が増えたということは、善玉菌がたくさんいる、良好な腸内フローラが形成されていることが推察されます。
スーパー大麦を食べてsIgAが増加
血清sIgA濃度を調べた結果が下図。スーパー大麦を食べたグループ(赤)は、通常品種の大麦を食べたグループ(青)に比べ、血清sIgA濃度も高くなるという結果が得られました。sIgAは腸管粘膜で産生され、局所免疫の主体をなすと言われています。スーパー大麦を摂取すると、消化管内の免疫機能が改善する可能性が示されました。
これらは、スーパー大麦に特徴的に多く含まれるフルクタンやレジスタントスターチという食物繊維が影響しているのかも知れません。
まとめ
スーパー大麦を摂取により、一定の消化管機能の改善がみられることを検証結果とともにお伝えしました。雑穀を選ぶときには、食物繊維の量も重要ですが、フルクタンやレジスタントスターチといった食物繊維の種類にも着目すると、より期待する効果があがる可能性が高まるので、チェックしてみるのもよいかもしれません。
なお、「ビオリエがおすすめする腸活」では、なぜ腸内フローラに今注目が集まっているのか?など紹介していますので、併せてチェックしてみてください。
ビオリエでは、今後も腸活による健康維持にスーパー大麦などの食材がもつ力を解明していきます。
参照:「大麦品種BARLEYmaxの摂取がマウスの腸内代謝に及ぼす影響」第72回日本食糧・栄養学会大会 口頭発表(2018年)
*1:オーストラリア連邦科学産業研究機構により開発されたスーパー大麦