ダイエットや健康管理における指標の一つがカロリーですが、厚生労働省は生活習慣病の予防・改善の指標として提示したこともあり、カロリーと同じぐらい重要な考え方として関心度が高まっている「PFCバランス」。理想的なバランス比率やその割合の意味などを説明します。
PFCバランスとは
PFCとは、Protein(たんぱく質)、Fat(脂質)、Carbohydrate(炭水化物)を指します。
健康な食事を考えるうえで大切な理想バランスの比率は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020)」によると以下のように定義されています。
生活習慣病の予防のための栄養バランス
厚生労働省が「エネルギー産生栄養素バランス」を決めた目的は
それぞれの各栄養素の摂取推奨量の見当の根拠とし、生活習慣病の発症予防と重症化予防 (*1)の両研究結果から栄養素バランスが決められています。
健やかな状態を維持するためには、PFCバランスを意識した食生活が欠かせません。1種類の食材だけを摂取する単品食事法や、断食、炭水化物を抜いた無理な糖質制限など、栄養が偏った食生活はエネルギー不足の原因となり、心身ともに不調を招いてしまう場合もあります。健康的でキレイなカラダを目指すなら、バランスを意識した食生活を心がけましょう。
たんぱく質の摂取量
Protein(たんぱく質):13*~20%
*50~64歳は14%、65歳以上は15%
水分を除くと体の約80%を占めるたんぱく質。20種類のアミノ酸の組み合わせからなる体の主成分のひとつで、筋肉のもとになり、視覚や味覚などの感覚や、さまざまな身体機能を補助します。たんぱく質の補給量が不十分だと、消化・吸収などの内臓機能の低下、代謝や免疫力の低下、筋肉量の減少や、肌や髪などの美容面のトラブルにつながる危険性もありますので摂取量はしっかり管理しましょう。
体重が50kgの方の場合は33gとなります。
タンパク質が多い食品として、イメージしやすいものは、肉や魚、卵など。理想を言えばこれらの食品からしっかりタンパク質を摂ることがベストですが、食物のみでタンパク質の摂取が難しい場合には、プロテイン(プロテインパウダー)などのサプリメントに頼ることもよいかもしれません。
脂質の摂取量
Fat(脂質):20~30%
細胞を包む「細胞膜」の主成分である脂質。体内のエネルギー源になるだけではなく、体を守るために必要な皮下脂肪、栄養素の吸収や運搬、栄養素の貯蔵などさまざまな働きのほか、ホルモンや遺伝子の材料にもなるとても重要な栄養素です。ただ、脂質はエネルギーの密度が高く、1gあたり9kcalと最も高いカロリーを含むという特徴も。そのため、脂肪の過剰制限は肥満や高血圧など生活習慣病の要因になり、不足するとホルモンバランスの乱れやエネルギー不足、皮膚炎などの健康上の悪影響の要因に。
・一般的な運動量の30~40代の男性(2,700kcal/日)は1日約60~90g程度
・同じく女性(2,050kcal/日)は45~68g程度
の摂取が目安となります。
脂質を考慮した食事としておススメの食材は、魚料理やナッツ類。脂身の多い肉やマーガリンなどはできるだけ控え、オリーブオイルやごま油といった不飽和脂肪酸のものを選ぶようにしましょう。
炭水化物の摂取量
Carbohydrate(炭水化物):50~65%
生活するにも運動するにも頭を使うにも必要な炭水化物。簡単に消化吸収されるものが多く、水分を多く保持する力があるため、体や便の水分コントロールにも関与します。
白米やパン、麺などの主食や、砂糖などの甘いものに多く含まれており必要以上に摂ると血糖値上昇により脂肪が合成され、皮下脂肪や内臓脂肪となることも。それゆえにダイエットなどのために控えるケースもあるようですが、控えすぎはバランスを崩すもとになりますので気をつけましょう。
具体的な摂取目標や目安となる指標は出されていませんので、自分の運動量に合わせた必要なエネルギー量分を摂るようにしましょう。
炭水化物は「糖質+食物繊維」なので、食物繊維を多く含む炭水化物食材を摂ることで、糖質を抑えることができますので、白米に雑穀をプラスしたり小麦のパンではなく全粒粉を使ったものを選ぶなどするとよいでしょう。
2:厚生労働省, 日本人の食事摂取基準(2020 年版)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf .