腸内環境を整える栄養素と聞いて、食物繊維を思い浮かべる方は多いはず。美容と健康のためには大切な役割を果たすと言われるその理由や、食物繊維が腸活にどんな効果を発揮するのかご紹介します。
食物繊維とは
食物繊維は「ヒトの消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されるもので、エネルギー源となる「炭水化物」を糖質とともに構成しています。
消化・吸収しづらい特性があり、ほとんどは体内をただ通過していってしまうことから、以前は体にとって何も役に立っていない「カス」だと思われていました。1970年ごろに食物繊維が腸内で重要な役割を果たしているとの論文が発表され、今では第6の栄養素とも言われるほど重要な項目としてとらえられています。
足りていない食物繊維の摂取量
食物繊維は健康を保つうえで積極的に摂り入れることが望ましい栄養素とされており、厚生労働省が「日本人の食事摂取基準」で定める食物繊維摂取目標量を設定しています。
それにくらべ、下図のとおり、特に若い世代においては1日に2~4gほど不足しているのが現状です。その原因は、現代の日本人は食生活の欧米化や偏った食事によるダイエット法などと考えらえています。
食物繊維の種類と働き
それでは具体的に、食物繊維はどのような役割を果たし、私たちの健康に効果をもたらすのか?を見ていきましょう。食物繊維は2種類あり、それぞれに働きが異なります。
便通を改善する「不溶性食物繊維」
水に溶けない不溶性食物繊維は、水分を吸収してふくらむことで便のカサを増し、腸を刺激して便通を改善します。また、不溶性食物繊維の代表であるセルロースは大豆やごぼうなどに多く含まれますが、これらはしっかり噛んで食べる必要があるため早食いや食べすぎ予防に役立ちます。
身体の中をきれいにする「水溶性食物繊維」
ネバネバ質の水溶性食物繊維は、体内でゲル状になって老廃物を吸収して外に出すほか、糖質の吸収をおだやかにして食後血糖値の急な上昇を抑えたり、糖質や余分なコレステロールの吸収を抑えて肥満を防いだりする働きがあります。こんぶやわかめなどの海藻類などに含まれるアルギン酸が代表的で、野菜からは摂取しづらいこともあり、水溶性食物繊維の摂取量を増やすことを意識することが重要視されています。
食物繊維を上手に摂るには
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は、2:1でバランスよく摂取するのが理想とされますが、摂取状況は下図のとおり不溶性食物繊維に偏っています。
理想的なバランスについては、こちらでご紹介しています。
食物繊維は穀類から摂ろう
食物繊維の摂取が推奨されていることもあり、野菜からの摂取量は増えつつありますが、反対にパン食化や糖質制限などによる炭水化物を摂らないことで穀類からの食物繊維量が減ってしまっています。
大麦などの雑穀類は不溶性と水溶性の食物繊維がバランスよく摂れるものが多いため、意識的に食生活に取り入れてみるのもよいでしょう。
”自分の体に”合っているか
雑穀と言っても、たくさんの種類のものがあります。成分表を見るなどして気になったものをまずは2週間続けて、期待する改善が見られない場合には別の商品を試してみる。そうして自分の腸と相性のいい食事や健康管理法を探り続ける腸活を続けていきましょう。