「腸活、菌活、血活、温活」など、いろいろな”活”を耳にするようになりました。ここでは今、改めて話題を集めている「血活」について、生活に取り入れやすい方法に注目していきます。
血活(ちかつ)とは
体のすみずみまで、24時間絶えず巡っている「血液」。血液を健康な状態に保つことは、全身にかかわる大変な病気などに影響があるため、血液や血流のチカラを重視していこうということのようです。
今や100年と言われる長い人生を健康に過ごすためにも、血活を意識して、できることから生活に取り入れられるように心がけてみてはいかがでしょうか?
地球2周半分の血管を巡る血液を良好に
一人の人間の血管をつなぐと10万kmにもなり、その長さは地球を2周半と匹敵します。血液はその長い血管を通って、口から入った酸素や栄養を、臓器や筋肉に至る全身に運んだり、不要な二酸化炭素や老廃物を排出したりしてくれています。
ほかにも、異物を処理する免疫細胞や、余分な脂肪を分解する酵素にも深くかかわるので、「血活」は健康維持にはとても重要。次項から具体的な血活の方法をご紹介します。
血活で摂りたい食事とは
まずは、食事面での血活から。血に良い栄養素としては、「鉄」「亜鉛」などがよく知られていますが、実は「食物繊維」も血に役立つ栄養素です。
血活の食事のキーポイントは食物繊維
食物繊維は整腸効果のイメージがありますが、それだけでなく、血活で気になる「血糖値」に大きくかかわり、食後血糖値の急上昇を抑えるのに効果的と言われます。食物繊維には、糖分の吸収を緩やかにする働きがあり、血液中のコレステロール濃度の低下機能も知られ、血中脂質が気になる方にもおすすめです。
そして、血糖値が気になる方は、食品を摂取後の食後血糖値の上昇を示す指標「GI」を意識しているかもしれません。GI値が低い食材を食事のはじめに食べると、緩やかに血糖値があがり、体への好ましくない影響を抑えることができるとされます。
GIについてもっと詳しくこちらのページでご紹介していますので、併せてチェックしてみてください。
食物繊維は多い食品はどれ?
食物繊維は、雑穀と豆類、根菜などに豊富に含まれます。雑穀は白米と一緒に炊飯するだけで食べられるという手軽さなどからも、健康志向の高い人を中心に注目が高い食材です。毎日の主食で取り入れやすいのも人気の秘密かもしれません。
食物繊維を多く含む食材
分類 | 食材 | 100g中に含まれる 食物繊維量 |
---|---|---|
米・雑穀 | スーパー大麦 | 23.1g |
えんばく/オートミール | 9.4g | |
押麦 | 7.9g | |
玄米 | 3.0g | |
豆 | 大豆 | 17.9g |
アーモンド | 10.1g | |
野菜 | ごぼう | 5.7g |
ブロッコリー | 5.1g | |
たけのこ | 2.8g | |
れんこん | 2.0g | |
きのこ | しいたけ | 4.6g |
えのきたけ | 3.9g | |
スーパー大麦:日本食品分析センター分析値 その他:日本食品標準成分表2020年版(八訂)参照 |
雑穀で一番はどれ?
雑穀と言っても、種類は様々。いろいろな定義がありますが、日本穀物協会の定義では「主食以外に日本人が利用している穀物の総称」とされており、大麦、ライ麦、燕麦、ハト麦など日本人が主食として利用していないイネ科作物、黒米、赤米のような有色米、精米されていない玄米、発芽玄米、キヌア、アマランサスなどを含めて考えられています。*2
食物繊維を多く含むものも多いことからも、積極的に摂取するとよい食材です。味や食感、栄養素、食べやすさなど、いろいろ試してお気に入りの雑穀を見つけてみてくださいね。
血活の運動は、毎日&ゆったり でOK
ウォーキングやジョギングなどのいわゆる有酸素運動は、血糖値を下げることができるとされます。目標の歩数は7000~8000歩で、1万歩以上歩くと脂肪の分解を促してコレステロールの対策になるともいわれます。その場スキップを20回、朝昼夜とするだけでもいいので、できることから始めてみましょう。
血活のストレッチは太い血管を狙いうち
血管を伸ばすストレッチは、血活にとっても有効。特に、太い血管が多い下半身を中心に、朝と夜の1日2回、「太ももの前と裏」「ひざの裏」「ふくらはぎ、すね」などを、痛気持ちいいくらいの強さで、ストレッチするとすっきりとします。
・反動をつけない
・伸ばしている血管を意識する
・呼吸を止めない
血活のカギは心地よくリラックス時間を持つこと
血活の重要なキーワードは、自律神経。日中にしっかり日光を浴び、リラックスした時間を過ごしたり、できるだけ質の良い睡眠をとることが大切と言われます。
冷えは大敵。温活も心掛けて血流アップ
「温活」も注目されていますが、冷えは健康の大敵です。暑い日も10分入浴し、首まで保温することを心がけましょう。冷えを感じやすい人は、マフラーや靴下で首や足首を保温したり、たんぱく質を摂って体の中から冷えを防ぐことも大切です。
口内環境を整えて悪玉菌を追い出そう
「国民皆歯科検査」の検討が話題になるなど、ますます注目の集まる口内環境。血活のリスクの一つである血糖値とも大きくかかわると言われています。口内にも腸内フローラ同様に、細菌がたくさんいて口内フローラを形成し、善玉菌と悪玉菌が勢力争いをしていますが、加齢とともに免疫力が弱くなり、悪玉菌が増えてしまいます。悪玉菌が増えると、歯を失ったり、危険な病気の引き金にもなってしまう歯周病になるリスクが高まります。
歯周病菌は、深くなった歯周ポケットに入り込み、歯垢にすみ着いてしまうので、毎日の歯みがきでしっかり落とすことが大切です。口内フローラを改善するために、シャカシャカ歯みがきと言われる磨き方を実践しましょう。
・アチコチしない。順番を決めてみがき忘れをなくす。
・シャカシャカっと小刻みに動かして。1か所10秒。
さらにデンタルフロスや歯間ブラシなどを使って、よりしっかり口内の清掃をすることもよい方法です。
歯みがきは覚醒作用がありますので、眠る直前は避けましょう。
血圧対策にはリラックス
血活で気になる人も多いであろう血圧のリスク、これを遠ざける方法として非常に大切なことは、穏やかな気持ちで過ごすことでしょう。
呼吸法を意識して心を整えたり、日光浴、ゆったりと好きな音楽を聴いたり、植物や動物と触れ合ったり、心も体も自分が気持ちいいと感じる時間を意識的に取るようにしたいですね。
まとめ
今後ますます注目される「血活」について、日々の食事や過ごし方などを紹介しました。血中脂質、血糖値、血圧などによいとされることを生活に取り入れて、メタボにも気をつけていくというもの。
食事面では、意外にも食物繊維が効果的だということでした。毎日の1食だけでも雑穀ご飯に変えてみることから始めてみてはいかがでしょうか。
生活面では、温活を基本として、少しずつでもいいので毎日継続できることから取り入れてみる。ストレッチなどは、今日からできそうですね。
また、口内環境を整えることで、菌の侵入を防ぐ一役になるということ。改めて歯みがきって大切ですね。
できる「血活」から、取り入れてみようかな、と思っていただけたら幸いです。
この記事はこの方に監修いただきました。
工藤 孝文(くどうたかふみ ) 日本糖尿病学会・日本高血圧学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・小児慢性疾病指定医。 内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科院長として地域医療に力を注いでいる専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療など。NHK「ガッテン!」では、2018年度の最高視聴率を獲得している。著書・監修書籍は、100冊以上におよび、Amazonベストセラー多数。著書:アスコム「やせる出汁」15万部突破のベストセラーとなっている。
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※1:ananweb – マガジンハウス, いますぐ始められる“血活 (ちかつ) ”でトリプルリスク対策! 健康最前線“血活”のススメ。, https://ananweb.jp/anan/417159/ .
※2:一般社団法人日本雑穀協会, 雑穀の定義, https://www.zakkoku.jp/milletdefinition/ .
参考資料
・生活シリーズ「NHKガッテン!「血液のチカラ」で若返る。「血流力」アップの実践術」, NHK科学・環境番組部/主婦と生活社「NHKガッテン!」編集班、主婦と生活社